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[019]2002年1月1日
[019]
潜在性甲状腺機能低下症の治療は、ほとんどの場合、不必要である
田尻クリニック / 田尻淳一
McDermottとRidgwayが最近の米国内分泌学会誌で「潜在性甲状腺機能低下症は軽度の甲状腺機能不全であり、治療すべきである」という論文を発表している次のページに全く反対の意見の論文が載っている(J Clin Endocrinol Metab 86; 4591-4599, 2001)潜在性甲状腺機能低下症の治療について、意見がまっぷたつに分かれていることを如実に示している。このように、正反対の意見を言い合って、お互いを高めていくことは、ひいては患者さんのためになると思います。今後、多くの研究が出されれば、自ずと結論が出ると思います。これこそが、本当の姿です。一方的な情報を流すのではなく、公正に意見を言いあって、それらを参考にして今後の研究が進み、最良の治療法が残るのです。

ChuとCrapoは最近の米国内分泌学会誌で「潜在性甲状腺機能低下症の治療は、ほとんどの場合、不必要である」という論文を発表している(J Clin Endocrinol Metab 86; 4591-4599, 2001)。まず、疫学的な研究では、潜在性甲状腺機能低下症の多くは血清TSH値が10mU/L未満の症例であることを指摘している。にもかかわらず、多くの研究では、医原性の潜在性甲状腺機能低下症が含まれていたり、血清TSH値が10mU/L以上の症例が大部分を占めていたり、男性患者が少なかったり、例外的な場合を除いて偽薬コントロール研究がなされていない。潜在性甲状腺機能低下症は治療すべきであるという科学的根拠に乏しいため、現時点では多くの場合、潜在性甲状腺機能低下症は治療の必要がないと結論づけている。

ただ、彼らも以下の場合には、潜在性甲状腺機能低下症は治療の必要があると述べている。以下に述べる条件の2つ以上を持っているとき;2回検査して血清TSH値が10mU/L以上、甲状腺機能低下症に関連した症状や兆候(例えば、甲状腺腫)がある、甲状腺疾患の家族歴がある場合、妊娠している場合、喫煙歴がある、初めて診断された高脂血症。

かれらの考えは、血清TSH値が10mU/L以上の場合、甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)で治療をすべきであると勧告を出している英国のものと同じである。血清TSH値が10mU/L以上の場合のみ、甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)の治療効果が確実であり、正当化される。

どうも現時点では、血清TSH値が10mU/L以上の場合、甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)の治療を行うことに関しては、多くの研究者が同意しているようである。
. Dr.Tajiri's comment . .
. 軽症の潜在性甲状腺機能低下症の治療については、意見の分かれるところです。関連したページを参考にしてください。
潜在性甲状腺機能低下症
実地臨床:潜在性甲状腺機能低下症
潜在性甲状腺機能低下症は想像以上に多い
TSHレベルと診断に関するアメリカ臨床内分泌専門医会の見解の逆転
血清TSHを正常にする甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)の投与は、潜在性甲状腺機能低下症による症状、血清コレステロール値を改善する:2重盲検、偽薬コントロール研究(バーゼル甲状腺研究)
潜在性甲状腺機能低下症は軽度の甲状腺機能不全であり、治療すべきである
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