バセドウ病とストレス

以前からストレスがバセドウ病の発症に何らかの関与をしているのではないかという考え方はありました。1世紀以上前には、バセドウ病の原因はストレスであるとするストレス説が信じられていた時代もありました。

確かに、人生の大きな出来事や日常のイライラ事がバセドウ病の発症や再発、治療の効きを悪くすることなどが報告されてきました。

手術、けが、受験、就職、解雇、経済的困窮、昇進、結婚、過重な仕事など種々のストレスにさらされたとき、バセドウ病が悪化したり、再発することが知られています。実際、バセドウ病の患者さんを診ていますと、ストレスにさらされたときバセドウ病の悪化や再発を経験することがあります。

しかし、生きていくためにはある程度のストレスにさらされることは避けられないのが実情です。バセドウ病は良性疾患であり、治療法も確立していることを考えたら、ストレスを避けるために人生における様々な発展の可能性、生活の広がりを制限することは、果たして本人にとって得策であるとは言えないかもしれません。病気をちゃんと治療し、うまく病気と付き合っていくことが重要なことではないでしょうか。