「根治切除不能な分化型甲状腺がん」抗悪性腫瘍剤・ネクサバール錠の発売

乳頭がんと濾胞がんは、総称して分化型甲状腺癌(もしくは甲状腺分化癌)と呼ばれます。予後の悪い低分化癌や未分化がんと区別して扱われます。しかし、甲状腺分化がんでも根治切除不能なものもあります。

従来なら、このような甲状腺がんに対しては放射線外照射、放射性ヨード治療、ペイト(PEIT:エタノール局注)、ラジオ波治療などが行われますが、なかなか治療効果をあげるのが難しい現状です。

最近、分子標的薬というお薬が開発されました。分子標的治療薬とは、がん細胞の増殖にかかわる特定の分子に作用するお薬で、近年、がん治療において広く使用されています。ネクサバール錠は、がん細胞の増殖の信号をブロックし、病気の進行に関わるたんぱく質の働きを抑えることにより、がんの進行を抑えます。

がん細胞は正常細胞と異なり、遺伝子に異常が起こることで細胞が増え続けてしまい、周囲の正常な組織まで破壊してしまいます。ネクサバール錠は、このようながん細胞の増殖を抑制します。

このネクサバール錠200mgが日本で、つい最近発売されました。手術できない甲状腺乳頭がん、濾胞がんの患者さんにとっては朗報です。ただ、副作用も強いですので、主治医の先生によく説明してもらって服用するかどうか決めましょう。