甲状腺ホルモン剤の吸収阻害

服用した甲状腺ホルモン剤は、小腸で吸収されます。そして、血液中の甲状腺ホルモン濃度を上げるわけです。甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)の吸収を阻害する薬剤として、鉄剤、アルミニウム含有制酸剤(商品名:マーロックス、アルミゲルなど)、コレスチラミン(商品名:クエストラン〈コレステロールを下げるクスリ〉)などが知られています。最近、プロトンポンプ阻害薬(商品名:オメプラゾール、タケプロンなど〈潰瘍のクスリ〉)にも甲状腺ホルモン剤の吸収阻害作用があることが分かりました。

米国臨床内分泌医会雑誌『Endocrine Practice』に最近掲載された論文で、プロトンポンプ阻害薬を使用中に甲状腺ホルモン剤の吸収が悪くなり、甲状腺ホルモン剤の服用量が増えたという報告がされました。甲状腺ホルモン剤の錠剤ではプロトンポンプ阻害薬により吸収阻害を受けるが、甲状腺ホルモン剤をソフトゲルカプセルに入れた製品(商品名:Tirosint〈日本では販売されていない〉)ではプロトンポンプ阻害薬による吸収阻害を受けないという。日本でも、ソフトゲルカプセルが販売されるといいですね。