ヨードアレルギーと放射性ヨード治療

ヨードアレルギーといわれている人は、多くはヨード造影剤でアレルギーがでた人です。ヨード造影剤には、ヨード以外の物質も多く含まれています。そのヨード以外の物質に対してアレルギーがでている人もいます。しかし、一般的に「ヨード造影剤によるアレルギー」イコール「ヨードアレルギー」と考えている人が多いのが実情です。

頭を冷やしてよく考えてみましょう。日本の土壌にはヨードが豊富に含まれています。したがって、日本で収穫される野菜、果物、穀物などにはすべてヨードが含まれています。もちろん、魚をはじめとして海産物にはヨードは沢山含まれていることは、みなさんもご存知のことと思います。日本人は世界でもヨード摂取量が多いことで有名です。特殊な状況下(ヨードが全く含まれていない点滴による静脈栄養でのみ治療されている人で全く口から食物を取らない場合)で数人報告がありますが、それ以外で日本ではヨード欠乏症はいままでに報告はありません。すなわち、日本人はヨードを十分に取っているからです。

アレルギーというのは、摂取量は関係ありません。微量でも摂取すれば、その物質がアレルギーの原因なら(アレルゲンと呼ばれます)アレルギーはでます。放射性ヨード治療で使われるヨードは微量です。みなさんが毎日摂取しているヨードと比べても少ない量です。

今までに放射性ヨード治療でヨードアレルギーがでた人の報告はありません。また、放射性ヨード治療の禁忌(放射性ヨード治療を行うことが禁じられている状態)ではありません。放射性ヨードの禁忌は、妊婦と授乳婦のみです。

ヨードアレルギーがあるからといって、放射性ヨード治療ができないということはありません。このことを正しく理解して、適切な治療を受けましょう。