円形脱毛症と自己免疫性甲状腺疾患の関連性について
円形脱毛症は最も一般的な自己免疫疾患の1つであり、皮膚を標的とした自己免疫活動による瘢痕を残さない部分的な脱毛が特徴です。 円形脱毛症は、全身性エリテマトーデス、白斑、甲状腺関連疾患、特に橋本病やバセドウ病などの自己免疫性疾患など、他の炎症性または自己免疫疾患と関連している可能性があります。実際、いくつかの研究で円形脱毛症と自己免疫性甲状腺疾患の関連性が調査され、有意な関連性が明らかになっています。
今回紹介する研究(Risk of autoimmune thyroid diseases in individuals with alopecia areata: A nationwide case-control study. Journal der Deutschen Dermatologischen Gesellschaft AOP 2025)では、円形脱毛症患者33,401名と対照群(円形脱毛症のない健常者)66,802名を比較しています。両群とも56.5%が男性でした。円形脱毛症発症時の平均年齢は29.9 ± 16.9歳でした。円形脱毛症患者と対照群を合わせた100,203名(全対象者)のうち、5,843名(5.83%)が自己免疫性甲状腺疾患と診断され、そのうち橋本病が5,165名(5.15%)、バセドウ病が678名(0.68%)でした。橋本病は円形脱毛症患者2,316名(6.93%)と健康対照群2,849名(4.26%)で確認され、円形脱毛症では橋本病の頻度が有意に高いことが示されました(p < 0.01)。同様に、バセドウ病は円形脱毛症群309人(0.93%)と対照群369人(0.55%)で診断され、円形脱毛症ではバセドウ病の頻度が有意に高いことが示されました。
橋本病の55%は円形脱毛症より前に診断され、41.5%では円形脱毛症より後に診断されました。バセドウ病の75%は円形脱毛症より前に診断され、24.5%は円形脱毛症より後に診断されました。橋本病またはバセドウ病の3.5%は、円形脱毛症と同時(3ヶ月以内)に診断されました。
結論として、本研究は円形脱毛症と自己免疫性甲状腺疾患(橋本病やバセドウ病)の間に有意な関連性があることを裏付けるものでした。しかし、円形脱毛症患者における定期的な甲状腺スクリーニングの臨床的有用性を評価するには、更なる研究が必要です。
この研究から、円形脱毛症と自己免疫性甲状腺疾患の間に有意な関連性があることは理解できました。実際問題として、橋本病やバセドウ病を治せば、円形脱毛症は治るのかという疑問が生じます。橋本病やバセドウ病は原因不明の病気ですから、根本的な治療法はありませんよね。では、どうすればいいのか?
ここで、ビタミンDが登場します。円形脱毛症患者では、ビタミンD不足がみられるという報告は多数あります。この結果から、円形脱毛症の治療としてビタミンD補充に期待を寄せています。ただ、まだ結論が出ているわけではなく、今後の研究を待たねばならないのが現状です。実際問題として、ビタミンDは安全なサプリメントですので、円形脱毛症に対して試してみる価値はあるのではないでしょうか。
因みに、ビタミンDはスーパーのサプリ売り場やドラッグストアで売っています。90日分で1000円程度です。1日1カプセルですから、一日10円ほどです。1日10円で円形脱毛症が良くなれば、安いものです。商品名は、ビタミンD(DHC)、ディアナチュラ(Asahi)、ネイチュアメイド(大塚製薬)、ビタミンD(FANCL)などです。その他にも、何種類か販売しています。
文責:田尻淳一