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いつ別の医師の意見(セカンド・オピニオン)を聞くべきか
インタビュー:メアリーJ.ショウモン

『甲状腺の力(Thyroid power)』の著者と、あなたがいつ別の医師の意見(セカンド・オピニオン)を聞くべきかについて一緒に考えましょう。
リチャード・シェイムス博士とカリリー・シェイムス博士(『Thyroid power』の著者)は、いつ別の医師の意見(セカンド・オピニオン)を聞くべきかについて同じ考えを持っています。

メアリー・ショウモン あなた方が書かれた本と今までの論文から、我々はあなた方が25年以上にわたって甲状腺の仕事に携わってきたことを知っています。セカンド・オピニオンを求めてやってくる患者に対するあなたの考えをお聞かせください。
シェイムス医師 専門家として、我々は個人の権利と自己管理において患者の支えになれればと考えています。本、友人、インターネットに加えて、我々は開業医との有益な関係を維持することが重要であると感じています。良い開業医は、病気を適当に診断し、あなたに長年の苦痛、出費、困難を強いてきた甲状腺の問題を最適な治療を行うことで患者の手助けになることができるのです。

しかし、全ての医師がそうではないことはお分かりいただけると思います。知識と臨床経験が専門家と同じレベルに到達するには時間がかかるということです。必要と感じたとき、専門家の意見を聞くことは、医師として当然の行為です。医師は、通常、その症例に関して別の意見(セカンド・オピニオン)がいつ必要か決めるときがあります。甲状腺疾患では、最近、セカンド・オピニオンの必要な時期を患者自身が決めることが多くなってきています。医師と看護婦が一緒になって、患者の要求に応えられるように努力すべきです。
メアリー・ショウモン なぜ患者がこのような考え方に変わってきたかについてご意見をお聞かせください。
シェイムス医師 甲状腺患者では、セカンド・オピニオンを聞くのは診断のときと治療法を決定するときです。例えば、経験のある開業医は甲状腺の問題について、患者から完全な病歴を聴取するでしょう。そして、慎重にニュアンスを聞いて、症状の性状を知ります。それから、医師は適当な理学的検査をして、症状を引き起こしている原因を確認するために、適切な検査を行います。
このような過程を経れば、どの治療法が適しているかについて患者自身でも決めることができます。あなた自身を安売りしてはいけません。あなたの症状が適切に診断されているかどうかを医師によく質問してください。主治医が、あなたの望みどおりにちゃんと甲状腺について調べない場合、必ず、医師にあなたの希望を率直に言ってください。あなたが甲状腺疾患を持っているか甲状腺疾患の家族歴がある場合、特に甲状腺疾患についてちゃんと検査をして欲しいと主治医に言うべきです。

あなたが友人やインターネットから情報を得たならば、その情報があなたの症状に関するものである場合、その情報を主治医と共有することは良い考えです。このような状況での主治医の反応をよくみてください。もし、主治医があなたの質問に答えるのを面倒がる態度を示すとか、質問に答えない場合、最適な治療を受けているかどうか疑う必要があります。自分の要望を述べて、医師の義務を認識してもらう必要があるかもしれません。主治医があなたの質問に対する答えを知らない場合、主治医はあなたのために何ができるかを質問してください。あなたは、よりよいサービスを受けるために別の医師を探す必要があるかもしれません。
メアリー・ショウモン なぜ、甲状腺患者は別の医師にみてもらう必要があると感じるのでしょうか?
シェイムス医師 多くの家庭医は、甲状腺機能低下症の頻度が想像以上に高いことを知らないように思います。我々の本にも書きましたように、大学医療センターによる調査で甲状腺疾患の頻度は高いことが分かっています(人口の10%程度)<メイヨー・クリニックの調査でも分かっていることですが>。そして最近、頻度が増加しているように感じます。従来、救急医療に重点を置いていた医学界がこの劇的な状況を知るには、長い間がかかりました。

通常、症状が重篤でなく、生命に危険を及ぼさない状況では、忙しい医師は患者の取るに足らないような訴えに注意を引かなかったのです。また、甲状腺機能が身体と心に影響を与えるため、患者の長い訴えのリストは病気とは無関係であるように医師に思われがちでした。患者は、胃炎、疲労感、体重増加、髪または爪の問題、感情的な浮き沈み、寒がり、暑がりなどの症状を訴えることがあります。

この一見すると関係ないように思える多数の症状を訴える患者に直面したとき、医師はしばしばその訴えに懐疑的で、甲状腺機能低下症を疑うよりはむしろ、うつ病のような精神医学的な問題があると考える傾向にあります。もうこうなれば、うつ病の診断のもとに抗うつ剤であるプロザックまたはゾロフトを処方する用意はできあがったも同然です。甲状腺機能低下症の症状がうつ病に似ているので、このような誤診が起こるのです。あなたがこのように誤診されている甲状腺患者のうちの1人であると感じたなら、そのときこそセカンド・オピニオンが必要な時です。
メアリー・ショウモン 専門医にセカンド・オピニオンを求めて診察を受け、甲状腺の検査でもうすでに診断されているが(おそらく数年前に)、治療はといえば、まだ患者が希望しているようには行われていない。そのようなときにはどうしたらいいのでしょう?
シェイムス医師 残念ながら、患者が満足できない治療を受けている場合が多いことはよく知られた事実です。問題は甲状腺疾患の診断ではなく、現在の症状と検査結果の解釈をちゃんとすれば、もっと状況は良くなるはずであると医師にはっきり言いましょう。甲状腺機能検査の結果をみるとき、正常値とされる範囲は広く、その人に最適のレベルに足らなければ症状は取れないかもしれません。正常値に戻っているにもかかわらず、そのような人々は様々な症状のために長い間、惨めな気持ちで暮らしていたかもしれません。患者の訴えにもかかわらず、一部の医師はTSHが正常値にあれば、その患者の甲状腺機能は正常であると主張するでしょう。一方、甲状腺患者はといえば、徐々に体調が悪くなり、結局、元気がなくなってしまうかもしれません。あなたがこのような状況にあるなら、甲状腺機能検査の結果が甲状腺疾患のすべての症状を反映しているわけではないと考えている別の専門医の診察を受けるべきでしょう。
メアリー・ショウモン 残念なことに、私と私の読者は、そのような医師をほとんどみたことがありません。
シェイムス医師 あなたのおっしゃることは正しいかもしれません。しかし、我々もより状況を改善するために努力はしています。我々のクリニックでは、セカンド・オピニオンを求めてやってくる患者だけではなく、我々のクリニックに最初から診察を受けに来る患者もいます。検査データは、我々が治療法を決定する要因の1つに過ぎません。我々と同じ考えを持った多くの他の医師がいます。患者は、そのような医師を捜す必要があります。あなたのウェブサイトのTop Doctors Directoryは、そのような医師を捜すのに非常に有用ですね。

例えば、医師の“バイブル”とされているPhysician ユs Desk Reference(PDR)をみてみましょう。甲状腺ホルモン剤の項目をみると、「血液検査」という小見出しがあります。この中で、医師は甲状腺機能低下症を診察する場合、血液検査のみをみて治療すべきではないとアドバイスされています。それは、臨床症状と血液結果から得られるデータを総合して治療することを意味します。にもかかわらず、医師は概してこのPDRのアドバイスを無視して、Managed care<保険会社:包括医療といって、ある疾患は月いくらと支払う金額が決まっている。それを越えると医療機関が自腹を切ることになる>に記述されているプロトコールに従った医療を行っています。臨床症状と血液結果から得られるデータを総合して治療をしている医師は数少ないのが現状です。患者は、このような診療を行っている医師を見つける必要があります。患者はセカンド・オピニオンを受けた後、主治医ともっとオープンに治療について話し合う機会が増えることを望んでいます。それは、単に投与量を増やすことや違う製薬会社の甲状腺ホルモン剤に変えてみることですが、それが実は大きな改善につながることがあります。セカンド・オピニオンでは、T3とT4の合剤を勧めるかもしれません。そして、T3とT4の合剤に変えるとT4だけを服用していたときより体調が良くなることもあります。心の広い医師は、セカンド・オピニオンのアドバイスを受け入れ、患者がよりよい状況になるか試します。
メアリー・ショウモン 多くの患者は、あなたが言っているそのような医師に会っていません。あなたと同じようなアプローチをとる医師が少ないのは、なぜだと思いますか?
シェイムス医師 『THYROID POWER』が出版されたので、我々は多くの人々から便りをいただきました。そして、「検査の横暴」と呼ばれている検査データ至上主義や新しくて異なる何かを試すことに気乗りのしない医師に対する不満を声高々にしゃべってくれました。

我々は、多くの医療機関が我々のような診療をすることを望まない理由も理解できます。そのような医療を行おうとすれば、非常に時間がかかり、患者の変化を適切に把握するために余分の労力を要します。この医療を行うには、あたかもローラーコースターに乗っているように混乱した患者を教育、支援して患者を理解してあげる医療関係者が必要です。今のManaged careでは、開業医がそれぞれの患者に合った適正な薬剤や適正な服用量を決めるために必要とされる慎重な注意を向ける時間を与えない仕組みになっています。

加えて、甲状腺疾患を持つ患者は通常、急性疾患ではありません。症状の変化はゆっくりで長期間を擁し、慢性疾患です。一部の医療機関は、この穏やかな病気に関心がないように思えます。

今までとは異なる何かを試すために、医師が標準の治療法から逸脱することは危険です。医師は常に監視されていて、特定の地域における基準に従って診療していることを思い出してください。もし、ある都市の7人の開業医が甲状腺機能低下症に対して合成甲状腺ホルモン剤を処方したら、8人目の医師は合成甲状腺ホルモン剤を処方することもあるし、ブタの甲状腺末を処方するかもしれませんが、ブタの甲状腺末を処方すれば、その8人目の医師は特定の地域における基準に従って診療しているとはみなされないことを意味しています。8人目の医師の行為は、実際、法律上では問題にはならないものであるが、まだ多くの医師に新しいことを行う行動を思いとどまらせています。
メアリー・ショウモン 私は、そのへんの事情もよく知っています。私の読者や私が困ったものだと感じているのは、医師が傲慢な態度をするか頑固者のように思える時です。
シェイムス医師 ああ、それは非常に重大な問題ですね。医療の現場では、一般に医師‐ 患者関係の適正な変化が遅れています。医師と患者は対等な立場で、病気を治すために協力する必要があります。医師の多くは、何でも知っているという態度が患者を最も安心させると教育を受けてきています。医師は絶対に正しいと洗脳された年輩の患者には、この医師の対応は通用するでしょう。我々は、患者に命令するのではなく、患者を教育し、動機付けをすることが我々の仕事であると考えています。医師は、患者の話に耳を傾けることが必要です。別の薬剤を試す気持ちをもつべきであるし、患者が治療法をどちらにするか決めかねているときに助言を与えることも必要です。

患者の健康を保護する際に医療者側としての我々ができることは、我々の知識、知恵、支援を求める人々に患者としての権利を認め、患者に敬意を表することであると思います。病気が治癒する過程において患者の信条(意見)が重要な役割を果たすことはよく知られています。また、権利を主張する患者の方が、単に医師の命令に従うだけの患者より病気の経過が良好であることもよく知られています。

我々は、患者自身が良いまたは悪いと考えているものを尊重し、患者の希望に沿うよう治療計画をたてることが一番大切であると考えています。特定の薬物が合わないと患者が言った場合、我々は彼らの意見を尊重します。我々は、患者がこれから受ける治療について感情(不安など)や意見をはっきり言うように勧めます。あなたの主治医があなたの感情(不安など)や意見を熱心に聞かないなら、セカンド・オピニオンを聞く必要があります。
メアリー・ショウモン 今まで話したことの要点を挙げていただけますか?
シェイムス医師 分かりました。甲状腺患者がセカンド・オピニオンを聞く必要を考え始めなければならない時は、以下の時です。
  • 主治医が、あなたの検査結果を説明しないか、検査結果をくれないとき
    (特に、あなたが医師に検査データのコピーをくださいと頼んでも、その希望が受け入れられないような場合です)
  • 主治医または病院に電話で問い合わせしても返事がないとき
  • 主治医が「それは気のせいですよとか、ストレスのせいでしょうとか、月経前症候群のせいでしょうとか、更年期障害のせいでしょう」と言うとき
    (もちろん、それらの疾患のせいかもしれませんが、甲状腺が原因ではないかと考える必要があります)
  • このウェブサイトに書いてある甲状腺機能低下症の症状について尋ねたとき、主治医が「その症状は、甲状腺機能低下症によるものではないでしょう」と言ったとき
  • 治療をずっと続けているにもかかわらず、もとの元気なころの体調に戻らないのに、主治医が治療法を変える気がないとき
  • 幸運にも協力的な主治医であったとしても、医師があなたにとって良くないようなことや状況を悪くするようなことをしてきたとき
    (主治医は、あなたをもっとより良い状況にするためにセカンド・オピニオンを必要とするかもしれません)
メアリー・ショウモン 最後に、セカンド・オピニオンを聞くことで患者にとってはどのように良い結果が生じるのでしょうか?
シェイムス医師 セカンド・オピニオンの効用は、以下です。
  • 主治医にあなたが何か新しい「一時的な」試みとしてセカンド・オピニオンを聞きたいと考えていることを知ってもらうことが最も良いことです。セカンド・オピニオンを聞いてもうまくいかない場合、あなたは主治医とよく相談して他のやり方を探し続けるでしょう。悪くても、元の治療に戻るだけです。
  • セカンド・オピニオンを聞いて行う治療についてどんな悪い結果がでたとしても、それは自分で全責任を持つことを主治医に話してください。実際、あなたは文書にして署名することが望ましいでしょう
    (このことで、医師の責任を軽減してあげられます。あなたが責任者になるわけです)
  • 甲状腺疾患の治療は個人差があり、また当たりはずれもあることをあなたが理解していること、そしてその考えを保証する意志があること、長引く不必要な障害で苦しんでいるので自分の責任を明確にすることが治療をスムーズに行うのに大切なことであることを主治医に知ってもらいましょう
    (あなたが医学的専門用語を使えば、単に「私は、元気になりたい」と言うより主治医の注意を引くには効果的です)

. Dr.Tajiri's comment . .
. 以下のページを参考にしてください。
クリスチンの話
バセドウ病の治療:違う人には違う扱いで
できる患者のための“文献屋”さんクラブへようこそ
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