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[058]
AACE甲状腺認識月間:2002年
田尻淳一 田尻クリニック 熊本

04:ゲイル・ディバース物語:遺伝について知ることから始まる

1990年、ゲイル・ディバースはバセドウ病と診断された。働きすぎで腫大した甲状腺によって、甲状腺機能障害は引き起こされた。疲労、体重減少、もろい毛髪と爪、甲状腺腫、注意力低下などの甲状腺障害の明らかな徴候がみられたにもかかわらず、医師がバセドウ病と診断を下すまでに2年の年月がかかった。

しかし身体的な症状とともに、ゲイルは早期に診断できたもう一つの手がかりを示していた。ゲイルの家系に糖尿病と貧血がみられたが、彼女はこれらの疾患と甲状腺疾患が関連しているということをその時には知らなかった。もし彼女がそのとき、甲状腺疾患と特殊なタイプの糖尿病、関節炎、貧血などのような自己免疫疾患は関連があるということを知っていたなら、彼女はもっと早期に治療を受けていたかもしれないし、2年間の無駄も過ごさなくてよかったかもしれない。

何が間違っているかを知らないことは、診断されるまでの最も恐ろしい経験のうちの1つである。彼女はバセドウ病と診断されるまでの間、実績を持ったスポーツマンとして自分の身体コントロールができないと感じた時から、ゲイルはバセドウ病の症状と苦闘した。バセドウ病と診断されてから、ゲイルは彼女と同じ経験(診断と治療が遅れたこと)を繰り返さないために、一般住民に対して甲状腺疾患の徴候について知ってもらうキャンペーンを精力的に行っている。

ゲイルは、バセドウ病の管理において彼女自身の重要な役割や甲状腺疾患と遺伝の関連性について知った今、アメリカ人が家庭内で健康について対話を持つことを促進するために、AACEの活動の一環として彼女は再び市民に働きかけようとしている。遺伝性疾患が家族内にみられる場合に、家族がお互いの間で健康面について話し合っていれば、早期に診断ができ、治療もできる。例をあげれば、ゲイルから話を聞いて病気について知っていたので、ゲイルの叔母は早期にバセドウ病と診断され、すぐに治療を受けた。それが可能だったのは、ゲイルと話しをしてバセドウ病の症状や医師に何を尋ねるとよいかを知っていたからである。他の人たちも、家族内で話しあう機会を持てば、ゲイルの家族と同じように病気を早期発見、早期治療できる。

家系図を作ると、どんな疾患があなたの家族で遺伝しているかを知る上で役立つ。また、かかりつけ医との対話を開始するにあたって非常に役に立つことがある。最近、ゲイルは、彼女の家系図をwww.aace.comにおいて完成した。あなたもあなた自身の家系図を作ることができる。更に、家族に甲状腺疾患と他の自己免疫疾患の遺伝の関連性を知らせるのに有益なe カードを送ることもできる。すぐに家族との対話を始めなさい。そうすることで、今までの人生を早道で引き返して、まだ見つかっていない疾患が診断できるかもしれない。

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