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T3併用療法

研究で、ほとんどの患者がレボサイロキシン(シントロイド)単独投与ではなく、T3を加えることで具合がよくなることがわかりました!!
日付:1999年2月11日
New England Journal of Medicine(ニューイングランド医学雑誌)1999年2月11日号に、「サイロキシンにトリヨードサイロニンをプラスするとほとんどの[甲状腺機能低下症]患者の生活の質が改善した」という研究結果が報告されています。
この論文のタイトルは『甲状腺機能低下症患者におけるサイロキシンとサイロキシン+トリヨードサイロニンとの効果の比較』、著者はRobertas Bunevicius、Gintautas Kazanavicius、Rimas Zalinkevicius、Arthur J. Prange, Jr.です。この研究はチャペルヒルのノースカロライナ大学医学部精神科と共にリトアニアのカウナス、カウナス医科大学内分泌学研究所で行われました。

どのように研究が行われたのか
要点を言うと、自己免疫性甲状腺疾患か、甲状腺癌のために甲状腺を摘出したことにより甲状腺機能低下症になった患者33名のグループを選び、全員を5週間単位で2度調べたのです。5週間にわたって、患者はレボサイロキシン(T4<注釈:日本ではチラージンS>)のみを通常量投与されました(レボサイロキシンはユーサイロックスやレボトロイド、およびシントロイドのような銘柄薬の一般名です)。もう5週間は、患者にレボサイロキシンにトリヨードサイロニン(T3<注釈:日本ではチロナミンまたはサイロニン>)をプラスして投与しました<注釈:アメリカではT3の商標名はサイトメルです>。T4プラスT3の投与期には、患者の通常のレボサイロキシン用量の内、50μgが12.5μgのトリヨードサイロニン(T3)に置き換えられました。試験の様々な段階で、血液や認知力、気分、および身体的検査など多岐にわたる検査が行われました。

結 果
生理学的効果の検知から見ますと、T4単独とT4プラスT3とでは、脈拍や血圧、反射、およびその他の様々な機能の差はごくわずかでした。血圧とコレステロールはT4プラスT3の方で実際にわずかな低下がありました。

劇的な結果が出たところは、精神機能です。T4プラスT3を飲んでいた患者は様々な標準的神経心理学の課題でよい成績を出しました。患者の心理学的状態もT4プラスT3投与で改善を見ました。

研究終了時に、患者に1番目と2番目の治療のどちらを好むかと尋ねたのですが、20名の患者がT4プラスT3がよいと答え、11名はどちらでもよいと答え、またT4単独の方がよいと答えたのは2名だけでした。T4プラスT3の方がよいと答えた20名の患者は、エネルギーが高まり、集中力が改善し、全体的に具合がよくなったと報告しています。

研究者は、「サイロキシンにトリヨードサイロニンをプラスした治療で、ほとんどの患者に生活の質の改善が見られる」と断定しました。

研究者は、甲状腺がないか、ほとんど機能していない人に対して、「正常甲状腺状態を保つに十分なサイロキシンに加え、1日10μgの持続放出型のT3の投与」を推奨しています。

あなたの治療との関わり
この研究は、現在の甲状腺ホルモン補充療法では具合がよくならないと感じている人に関わるものです。

標準的なレボサイロキシン単独投与による治療を受けている場合、大多数の被験者のように、推奨された投与比で持続放出型T3製剤を加えると具合がよくなる可能性があります。

Armour甲状腺末またはサイローラー<注釈:どちらも動物の甲状腺をクスリにしたもの>を飲んでいる場合、今飲んでいる薬に含まれるT3がこの研究で推奨されている比率より幾分高めになっている可能性があります。この論文に記載されている比率にもっと適合するような投薬法に変えることで、最適な結果が得られる可能性があります。

甲状腺ホルモン補充療法を受けていて、具合がよくない場合は、すぐにそのことを医師にこの研究のことを知らせ、この論文のコピーを自分の分も一緒に手に入れるようにしましょう。

同時に何らかの情報を医師に伝える場合、TSHが2以上であるのは「正常」ではなく、実際は甲状腺の機能が落ちつつあることを示す異常なレベルであることを示唆しているBritish Medical Journal<注釈:この論文も近いうちに訳して公開します>の論文のコピーも渡した方がよいでしょう。

甲状腺疾患患者の拡大像
これは実際に革新的な研究で、私自身を含めた患者と一部の医師が長年にわたって主張してきたことが研究により確かめられたのです。レボサイロキシン単独の甲状腺ホルモン補充では、相当数の甲状腺機能低下症患者は具合が悪いままであり、甲状腺ホルモン治療薬にT3を加えると具合がよくなって、よく働けるようなるということです。

面白いことに、この事がなぜ天然のArmour甲状腺末や自然なT4とT3を含有するウェストロイドとナチュレトロイド、および私が飲んでいる合成T4/T3製剤であるサイローラーのような別の甲状腺製剤を飲んでいる患者が皆具合がよいかということに対する説明となっているのです。一部のケースでは、患者が標準的なレボサイロキシン療法にサイトメル(合成T3)または持続放出型T3を加える場合もありますが、やはりよい結果が出ております。

何年もの間、患者は「正常なTSH範囲」にするにはレボサイロキシン治療だけでよく、甲状腺治療はそれで完全だと考えられていると言われてきたのです。繰り返し、疲労やうつ病、認知力の問題等を含む症状にまだ苦しんでいる患者は、甲状腺ホルモンの範囲が正常になったので、そのような問題は甲状腺とは無関係なものであり、今の症状はうつ病やストレス、PMSに関係したものか、あるいは単に「想像」に過ぎないのだと言われていました。例えば、何年もArmour甲状腺末で状態のよかった患者が、シントロイドに切り替えてから具合がよくないと訴えると、「年を取ったからだ」と言われていたのです。

患者の問題とその養護に関し、指導的な立場にあるはずのアメリカ甲状腺協会の季刊ニュースレターであるブリッジに、最近このような発表があったことを考えてみてください。
TSH検査は非常に正確なもので、TSHが正常であれば、甲状腺機能障害はこれらの症状の原因ではない。
…Douglas Ross, アメリカ甲状腺協会医学顧問
従来の医学会や甲状腺関係団体、医療グループにより、患者が今までずっと無視され、否定され、見逃されて治療を受けることのなかったことは、まったく不合理なことです。

一方、Armourのような天然の甲状腺製剤、あるいはその合成剤であるタイローラーを処方している医師は、やぶ医者とか無責任だと見なされ、時には地域医療委員会のレボサイロキシン単独投与信奉者から告発されることさえありました。

この情報により、医師だけでなく、患者や医療団体がもっと患者の言うことに耳を傾け始めるようになることを願います。製薬会社の言うことにではなく。明らかに、レボサイロキシンだけがすべての人に必要なものだというのは、シントロイドの製造業者であるクノール製薬のような会社のマーケティングの立場であったのです。そのすぐ後に続き、一語一句を真似て言ってきたのは、クノール社やそのライバル会社から喜んで寄付金やプロジェクト資金、学会費、そして様々な無料の特典を受けてきた内分泌病専門医の集団であります。彼らはレボサイロキシンの金の積まれたボートを揺らしたくはないのです。

このパレードの先頭に立っているのは、自分のことを“甲状腺専門医”と呼んでいるRichard Guttlerのようなやからで、インターネット上での彼の「セカンドオピニオン」サービスに対し、$150以上の「前金」を患者から取るのです。昨年、なかなかよくならない症状を訴え、今やもっと効き目のある事がわかった別の薬を試したいと言った患者を彼は怒って退け続けたのです。去年、ウェブサイトの読者が彼にシントロイドが切れて3〜4日後に20年間(またはそれ以上)も苦しんできた息の詰まるような咳が軽くなったと書いたのです。彼女はArmourに変えたと彼に言いました。彼の返事はこうでした。「ばかなことは考えるなよ!シントロイドが問題の原因じゃないんだから」
昨年、私もGuttler彼独特の「患者に対する接し方」に触れる栄誉を賜りました(大文字や句読点が正しくありませんが、彼の原文のままです)。
「主流から外れたこと」を書いてあるのはあなたのEメールであって、私のではないことが喜ばしく思います。Armour甲状腺末を飲むことやサイローラーまたはサイトメルとの併用を考えたこともない主流派の甲状腺疾患患者だけに対処することで、私の生活はもっと楽になるのです。サイローラーが市場から引き上げられたらどうするんですか。次は自分のウェブサイトで個人的に自然の臓器から抽出した自家製甲状腺ホルモンの混合物でも作るんですか。
…dr.g
[dr.g]のような恐竜からできるだけ早く遠ざかろうとしている患者が皆、“非主流派”の数を増やす方に回っていることを見越して、患者の訴えを聞き、患者のためになることを考えてきた目先のきく、能力のある医師は、周囲の圧力や製薬会社のマーケティング攻勢にもかかわらず、私達患者の多くにT3製剤がよく効くという自分達の知識に基づいた診療を頑張って進めてきました。そして、長いこと“非主流派”として非難されてきたその同じ医師達が、今では従来の医学の砦の一つであるNew England Journal of Medicineによって正しいと証明されたのです。

. Dr.Tajiri's comment . .
. この記事は、実名で個人攻撃していますので、公開するかどうか迷いましたが、このような意見もあることも知って欲しくて、敢えて公開しました。このことに関する最近の公開にも書きましたが、T3+T4併用療法の有効性については、まだ結論は出ていません。多くの人はT4(チラーヂンS)単独投与のみで、特に問題がないのが現状と思います。ただ、TSHを正常にしても症状の改善しない人には、試みるべき治療法だと考えます。 .
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