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[005]
患者さんとの橋渡し【Bridge】 Bridge; Volume 14, No2

27:バセドウ病に罹ったティーンエージャーの生活 / Gilbert Lauren Higginson
Laurenさんは、ブリッジ1997年(12巻-4号)に最初に載ったバセドウ病闘病記の続きを寄せてくださいました。

私は14歳の高校1年生です。そして2年以上前からバセドウ病に罹っています。バセドウ病は甲状腺機能亢進症の一つのタイプで、体の代謝速度が速くなります。
1997年の冬の間(私は7年生でした)、母は私の食餌の習慣が変ったのに気が付きました。私は1日に6回も食べていたのに、どういうわけかやせてきました。学校の授業に集中するのが困難になり、変に気分が落ち込んだり、高揚したりし、またよく眠れなくなりました。母は、子供の頃にバセドウ病に罹ったことがあるので、甲状腺機能亢進症の検査をしてもらうように言い張りました。2日後、検査の結果が出て、甲状腺機能亢進症であることがわかりました。私のT4レベルは16.7でした。正常値は7から8の間であるはずです。私はボストンにある小児病院に送られました。心拍が速いために、テニスやスキーは止めなければなりませんでした。

しばらくの間タパゾール<注釈:日本ではメルカゾール>を飲んでから、最初にやせた以上に体重が増えているのに気が付きました。そして、いつもひどく疲れるようになりました。医師が血液検査をして、今度は甲状腺機能低下症になっているのがわかりました。これは体の代謝速度を遅くします。私のT4レベルは16.7から3.5に落ちていました。テニスはできるようになったのですが、スタミナがなくなりはじめました。医師は私の甲状腺ホルモンを正常レベルにあげるため、甲状腺ホルモン剤であるレボキシル<注釈:日本ではチラージンS>を処方することにしました。私はいつも軽い風邪に罹ってばかりいるようになりました。そして、関節の痛みが続いていました。医師はいくつか血液検査をして、私の抗核抗体(ANA)値が高くなっていることを見つけました。これは、私の免疫系がちゃんと働いておらず、どういうわけか体の健康な細胞を攻撃していることをうかがわせるものです。ANA値が高いということは、狼瘡<注釈:SLEという膠原病です>の徴候であることが多いのです。狼瘡はその症状により定義される進行性の病気です。原因はわかっておらず、したがって治療法もありません。狼瘡は、健康な細胞や関節、そして最終的には生命に関わる臓器を襲います。私は眼科医とリュウマチ専門医に診てもらいました。眼科医は眼窩内の炎症と若年性リュウマチや全身性狼瘡の症状が他にないか、またバセドウ病の眼窩的症状を捜しました。リュウマチ専門医はこのデータを調べ、狼瘡や慢性関節リュウマチのはっきりした症状は見られないという結論を出しました。翌年の秋、私はフィールドホッケーを始めました。そして、膝が痛んだり、心拍が速くならない限り、何でも好きなスポーツができるようになりました。

私がかかっている内分泌病専門医は、私の血液検査の結果に基づいて薬を調節してくれます。現在は、またT4が14付近で、甲状腺機能亢進症になっています。でもあまりひどくやせることもありませんし、最初に診断された時のようにひどい症状もありません。まだ、陸上やスキーなどのスポーツもできます。関節の痛みやいつも風邪ばかり引いているというようなことはなくなりました。これには、本当に感謝しています。医師は、私のレボキシルを完全に中止し、私は今最大量のタパゾールを飲んでいます。集中力も正常ですし、まるで病気する前に戻ったように感じています。ここ1年くらいの間に一つ気が付いたことは、私の視力がぼやけてきたことです。でも、まだ眼科医に予約を取っていません。

将来、私がかかっている内分泌病専門医は2つの選択肢を考えています。今飲んでいる薬が甲状腺によるホルモン産生をうまく抑え始めたら、病気のコントロールのためにタパゾールとレボキシルを続けることになります。しかし、治療の効果が不十分である場合は、甲状腺の機能を永久に抑えてしまうため、放射性ヨードを使うことになるでしょう。そして、その後は生涯甲状腺で作り出されるホルモンの代りに、合成ホルモン剤を飲み続けることになります。

将来何が起ころうとも、私の甲状腺の病気は管理することができます。甲状腺機能障害になんか私の人生の成功を邪魔させたりなんかしません。今までのところ、この病気で私の人生に大きな影響は出ていませんが、そのようなことが将来もないようにしたいと思います。

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