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[042]2002年9月24日
[042]
巨大な甲状腺腫をもつ非中毒性多結節性甲状腺腫(腺腫様甲状腺腫)患者に対する放射性ヨード治療
田尻クリニック / 田尻淳一
非中毒性多結節性甲状腺腫(Nontoxic Multi-Nodular Goiter; NTMNG)は、日本では腺腫様甲状腺腫と呼ばれることが多い。この疾患は甲状腺に結節が多数できるが、真の意味での腫瘍ではなく、厳密には過形成である。原因は不明である。通常、甲状腺機能は正常で甲状腺腫の小さいものは治療の必要はなく、経過観察で十分である。しかし、気管を圧迫するほど甲状腺腫が大きい例や美容上の問題などの理由で手術が必要になることがある。

デンマークの研究グループ(Bonnema, SJ et al. J Clin Endocrinol Metab 1999; 84: 3636-41)は、甲状腺重量が150ml以上の大きな非中毒性多結節性甲状腺腫(腺腫様甲状腺腫)患者に対して放射性ヨード治療を行っている。このような巨大な甲状腺腫を持つ患者は通常は手術の適応となる。23例(男2例、女21例、平均年令67才[42〜86才])を対象とした。治療前の甲状腺重量は、311±28ml(100〜703ml)であった。治療1年後の甲状腺重量は、215±26ml(67〜586ml)であった。放射性ヨード治療を行って1週間後、1年後に甲状腺重量を測定した。1週間後には甲状腺重量は不変であった。1年後には、甲状腺重量は平均33.9%(13.5〜61.4%)縮小した。治療前の甲状腺重量が大きいほど縮小率は低かった。すなわち、治療前の甲状腺重量が小さい症例が、縮小しやすいということが分かった。大量の放射性ヨード[平均61.6mCi(26.7〜124.9mCi)]を投与したにもかかわらず、投与後の甲状腺腫大による気管圧迫症状がみられた症例はなかった。

結論として、「非常に大きな非中毒性多結節性甲状腺腫(腺腫様甲状腺腫)患者に対する放射性ヨード治療は、甲状腺腫を1/3縮小し、特に副作用もみられなかった」と報告している。

非常に大きな非中毒性多結節性甲状腺腫(腺腫様甲状腺腫)患者で高齢者、手術を拒否する症例などに放射性ヨード治療は治療の一つのオプションとして追加できそうである。
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