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バセドウ病 … 手術による治療
手術の長所は早く確実に治ることです。
これはバセドウ病の治療として一番古くから行われていました。
20世紀のはじめにルゴールが使われるまでは、手術後に死亡する人が多く、治療を行う方も受ける方も大変勇気がいりました。術前にルゴールを使用するようになって、手術後の死亡はなくなり安全なものとなりました。
しかし非常に希ですが、手術には、出血、声のかすれ、カラスまがりなどの合併症が起こることがあります。
また、キズが残ることや入院する必要があることなどの短所もあります。
長所としては確実に早く治ること、甲状腺の腫れがなくなることです。
ただし、手術をしたら100%治って再発がないと言うわけではありません。100人のうち10人に再発します。術後再発した場合には原則として2回目の手術はしません。その場合には、アイソトープ治療をします。
手術に適する場合
甲状腺の腫れが大きいとき、シコリを触れがんが疑われるとき、早く治りたいとき、クスリをしっかり飲めないとき、クスリで治療した後に再発したとき、クスリで副作用のあるときなどの場合、手術に適しています。
手術は若い人に適しています。どこまでを若いというかは難しいのですが、15〜39歳までと考えています。50歳以上は原則として手術は勧めません。シコリのある場合は50歳以上でも手術を勧めるときがあります。40歳代はどちらでもよいので、患者さんとよく相談して決めます。成長期にある子供さんは、手術をしないでクスリで治療します。体の成長が止まってまだ治っていなければ、手術した方がよいかもしれません。
手術後、一時的に甲状腺機能低下症になることがあります。
手術した後3〜4ヶ月、長い人では6〜12ヶ月位、甲状腺の働きが落ちることがあります。
これは手術で甲状腺を切り取るために、その状態に慣れるのにそれ位の時間がかかると言うことです。自然と良くなりますので、ほとんどの場合クスリをのむ必要はありません。
最近では、術後の再発を避けるために残す甲状腺組織を少なくする傾向にあります。したがって、術後に甲状腺機能低下症になることがほとんどです。この場合は、甲状腺ホルモン剤さえ飲めば心配ありません。
しかし、甲状腺機能低下症の症状が強くて、日常生活に差し障るときには、短期間だけ甲状腺ホルモン剤を飲んでもらいます。手術後に筋肉がひきつることがありますが、これも甲状腺のはたらきが落ちているためです。
また、妊娠も甲状腺のはたらきの落ちている時期は避けたほうがよいです。どうしても、早く子供が欲しいときは甲状腺ホルモン剤を飲んで、甲状腺のはたらきを正常にして妊娠することも可能です。甲状腺ホルモンは胎盤を通りません。
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