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甲状腺疾患健康ガイド

08:バセドウ病眼症(眼球突出症)
01 臨床的特徴
02 検 査
03 自然経過
04 治療法
05 長期管理

01 臨床的特徴 ↑このページのトップへ
バセドウ病眼症の特徴は、目の組織の炎症症状です。目は痛み、充血し、涙が多く出ます。特に日光や風にあたった時にそうなります。まぶたは炎症を起こし、腫れてきます。

まぶたや目の周りの組織は液体がたまり腫れてきます。眼球は眼窩から飛び出してきます。目の筋肉が腫れるため、目を正常に動かすことができず、物がぼやけて見えたり、ダブって見えることがあります。

診察では、目が眼窩から押し出されているのがわかります。「眼球突出計」と呼ばれる器具を用いて目の突出程度を測定することができます。

02 検 査 ↑このページのトップへ
カナダで眼症を起こす血液中のたんぱく質を測定する簡単な抗体検査の開発がかなり進んできていますが、現在のところバセドウ病眼症の診断を確定するための検査はありません。そのような検査はバセドウ病による甲状腺機能亢進症患者の中で、眼症を起こしてくる可能性の高い人を見分けるのに役立つと思われます。

03 自然経過 ↑このページのトップへ
目の変化は、約24ヶ月以内に「燃え尽きてしまう」傾向があり、ほとんどのケースで何の治療をせずとも満足のいく結果が得られます。ただ、普通は複視と目の飛び出しは完全に消えません。目が腫れて飛び出しているという美容上のことで多くの患者が悩みますが、一方それ以外のもっと軽い症状のある人では、複視のためにはっきり字が読めないという不都合を抱えています。眼症の影響は患者の年齢や性別、職業によっても異なります。

04 治療法 ↑このページのトップへ
残念ながら、満足のいくような治療法はありません。甲状腺機能亢進症が眼症に影響すると思われるため、甲状腺機能亢進症をできるだけ早く、効果的に治療することがとても大事です。でも、甲状腺機能低下症にならないようにしなくてはいけません。これも甲状腺眼症には悪い影響を与えるからです。ほとんどの患者で、甲状腺の異常を治療したら目も幾分よくなる傾向があります。

少数の患者で、甲状腺に対して何を行っても関係なしに眼症が進行します。これらの患者では、視神経の腫れや視力を失うなどの好ましくないことが起こらないよう、ステロイドや免疫抑制剤などの強い薬で治療しなければなりません。

これらの手段が数日以内に効を奏しないようであれば、手術で組織の一部を取り除くか、あるいはX線で目の治療をして眼窩内の圧を緩和する必要がある場合があります。どちらの治療法でも、眼球やその周囲の眼窩組織の圧を速やかに減じ、永久的な視神経の損傷または緑内障が予防されます。

05 長期管理 ↑このページのトップへ
治療を行った後、あるいは治療せずに目の症状が「燃え尽きた」時、目の炎症が再発することはめったになく、治療を続ける必要もありません。前に甲状腺の病気になったことのない眼症患者は、甲状腺の病気を発病してくるかもしれないので、定期的に診察を受けなければなりません。以前甲状腺機能亢進症の治療を受けた眼症患者は、甲状腺機能亢進症の再発、あるいは甲状腺機能低下症が起きてくると、眼症の再燃が起こることがあるので、やはり定期的に診察を受けて甲状腺機能が正常であるかを確かめなければなりません。

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