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線維性筋痛の仮説:低代謝

次のテキストは最近発表されたJohn C. Lowe博士とGina Honeyman-Lowe博士の論文から採ったものです。この論文のタイトルは、『代謝リハビリ中の線維性筋痛性疼痛の減少促進:軟組織療法に対する重要な役割』です。この論文はJournal of Bodywork and Movement Therapy(指圧やマッサージなど特殊技術を使う治療法と運動療法)、2(4): 208-217; 1998に発表されています(この雑誌はイギリスChurchill-Livingston社より、Leon Chaitow博士監修で発行されています)。

科学的研究と長年の臨床経験から、線維性筋痛の病因とその治療法についていくつかの結論が導き出されました。

いちばん多い基礎的メカニズム
ほとんどのケースで、線維性筋痛は甲状腺ホルモンの細胞機能調節が不適切であるために起こるか、それに関連があるものです。2種類ある減少のどちらか一つが原因で不適切な調節が起こります。1]甲状腺ホルモンの欠乏、あるいは、2]甲状腺ホルモンに対する一部の細胞の抵抗性。

その他の基礎的メカニズム
他の代謝を障害するファクターも、組織の代謝を妨げ、そのことで線維性筋痛の症状や徴候が生じる場合、線維性筋痛の診断につながる症状を誘発したり、持続させたりすることがあります。そのようなファクターには、ビタミンB複合体の欠乏やベータ受容体遮断薬の使用、および身体的体調不良などがあります。そのようなファクターの一つが線維性筋痛の症状を誘発するに十分でないこともありますが、いくつかが合わさると症状を起すに十分になる場合があります。

効果的な治療のための基本的要件
患者の著しい改善を見るまでに、線維性筋痛の症状の原因となっている代謝障害ファクターをコントロールまたは排除しなくてはなりません。線維性筋痛が不適切な甲状腺ホルモン調節のために起きている場合、正しい形の甲状腺ホルモンが患者の改善や回復に欠かせないものとなります。T4単独(シントロイドのような)では、ほとんどといってよいほど効果がありません。ほとんどの患者には乾燥甲状腺(Armour甲状腺のような)か、T3単独投与による治療が必要です。臨床家が血液中のTSHレベルまたは甲状腺ホルモンレベルにしたがって患者の用量を合わせる場合、治療の効果があることはめったにありません。ほとんどの患者は用量を組織の甲状腺ホルモンに対する反応に応じて合わせた場合にのみ、改善や回復を見るのです。

栄養剤
ほとんどの患者にとって、栄養剤も欠かせないものです。栄養剤は代謝の増加を維持するために甲状腺ホルモンと共同して相互に作用しあいます。甲状腺ホルモンが代謝を促進するにつれ、体が必要とする栄養素ム特にビタミンB複合体ムが増加します。ビタミン剤を飲まないでいると、ビタミン欠乏症や心筋の異常(心筋症)を起すことがあります。栄養剤を飲むことで、そのような有害事象を避け、甲状腺ホルモンによる代謝の正常化を助けることができます。

許容限界まで運動する
すべての患者にとって、許容限界までの運動が欠かせません。運動によって、甲状腺ホルモンと栄養剤により増加した代謝能力を維持するすることができるのです。抵抗性運動は筋量を増加させるので、代謝の増加に効果があります。筋肉は脂肪よりも代謝速度が高いのです。したがって、抵抗性運動により筋量を増加させると代謝速度が上がります。エアロビクス運動も代謝速度を上げます。

理学療法
多くの患者は、代謝リハビリ中に何らかの理学療法が必要です。ほとんどの患者にとって、いちばん重要な理学療法はトリッガーポイント療法(疼痛誘発点)と脊椎整復です。理学療法は一部の患者の痛みのスコアを継続して減少させるのにきわめて重要なものです。効果的な理学療法で、ほとんどの患者は線維性筋痛の疼痛基準に適合しなくなります。

「しかし、それは単なる学説に過ぎないではないか!」と反論する医師もおります。

. Dr.Tajiri's comment . .
. Lowe博士の反論は情報源/患者情報[042]で公開しています。 .
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