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感情とストレス−慢性疾患管理にあたってのアイデア

Andrea Sharaのインタビュー
ストレスが甲状腺の病気を含む慢性疾患の一因となったり、悪化させたりすることがあるというのは疑いありません。純粋に身体的な面から見ますと、感情的ストレスが体内のストレスホルモンの放出を増加させ、それが体の自然治癒や自己修復能力、また感染と闘う力を減じることになります。同時に、長いこと気分がすぐれないということがストレスを加え、そしてストレス/病気の循環が独りでに回り始めることがあります。

セラピストのAndrea Maloney-Shara, LCSWAはワシントン州、ワシントンDCで開業しており、研究とファミリーシステム論に従った診療を行っています。この理論は精神科医Murray Bowenが国立衛生研究所で行った研究の所産を発展させたものです。Andreaさんは慢性疾患を持つ人がどうすればより効率的にストレスや感情を管理できるかということに関して、健康増進の努力の一環としてのいくつか画期的なアイデアをお持ちになっておられます。

[Q]Andreaさん、今日はお話をうかがうためにお時間を割いていただき、どうも有り難うございます。では、まず最初にニワトリが先かヒヨコが先かという質問から始めたいのですが、どちらが先に来ると思われますか?ストレスですか、それとも病気ですか?
われわれは、生まれた瞬間からストレスを受けざるをえません。完全に健康な状態であったとしても、泣くようなことはたくさんあります。人生は私共のほとんどにとってつらい日の方がずっと多いのです。ですから、私はストレスをリストの一番上に持ってきたいと思います。

この質問の背後にあるものは、なぜ人はストレスを悪い言葉と考えるのかという疑問であろうと思います。おそらく、悪い人だけがストレスを感じると思われているのかもしれませんし、あるいは弱者だけがストレスに苦しむということは言わなくてもわかることなのでしょうか。たくさんのマイナスの評価が、ストレスを認識したり評価する際に付きまといます。それは宝くじにあたるようなものではありません。事実、あなたがカンシャクを起こしたり、夜よく眠れないとか、目に付く限りのジャンクフードを食べた、あるいはストレスでまいった日には24時間のうち27時間も心配したなどということを見出したとしても、誰も誉めてはくれません。この悪い評判のすべてが、ストレスについて本当に知りたいと思うことを難しくしています。

慢性疾患がそうですね、これには知りたいと思う本当の理由を見付けられる何かがあるでしょうね。病気は現実のものです。人々はあなたが話していることがわかります。この軟弱なストレスみたいなものとは全然別物です。病気とは正直な名称です。病気は重要視されます。よい人も悪い人も病気になりますし、普通は価値判断もありません。もちろん恐れはありますし、病気のことについてもっと知ろうとするのは医師よりもずっと困難です。概して、病気ということになれば、十分に考えられ、信頼できる一連の行動がありますし、改善する可能性があることも多いのです。

[Q]Bowenの理論によれば、我々がストレスや緊張を経験した時に、ともかく不安を捨て去るようにデザインされた行動に至ることが時にありますが、中には残念なことにそのために身体的問題や病気を生じることになる人もいます。もう少し素人に分かる言葉で、身体的問題を生じたり、あるいはすでに存在する問題が悪化するような人はどうすれば実際に不安を“和らげる”ことができるのか説明していただけませんか?
私達はそれぞれ生まれつきストレスに対する耐性を備えています。これを「圧力計」と呼びましょう。もし、誰かが突つけばはじけるほどのストレスを受けたとします。その人が風船だと想像するとわかりやすいでしょう。時には、空気を逃す方法を見付けてはじけるのを避けることができます。身体的問題も同じようなものです。ここでも行動の問題を考えてみるとわかりやすくなります。

風船は次のようにしてはじけます。
仕事に行くと社長が私を怒鳴りつけます。私は不安で、すっかりまいってしまったので、家に帰る途中、ちょっと1杯やります。実際に気分がよくなり始めたので、もっと飲みます。とうとう最後はタクシーで家に帰ることになりました。主人が私を待っています。彼は頭に来ています。彼は、私がわざと酔っ払ったと言い、私に向かって怒鳴り始めます。ちょうど社長がしたみたいに。私は寝て、目が覚めたら2日酔いで、仕事に行くことができません。主人は私をかわいそうに思って私の介抱を始めます。そして私に何があったのかと聞いて、心配しすぎだと言います。
この話がどのように進んでいくかおわかりでしょう。ストレスに襲われたことで人間関係が変わりました。これは極端な例ですが、明らかにストレスと不安が遺伝的素因の引き金を引くことがあります。ストレスが“生活習慣病”を悪化させる可能性を高める行動につながります。酒を飲むことを、食欲のないこと、運動をしないこと、山程のマイナスの心配をすること、そして素因のような遺伝的なものなどに置き換えてみると、病気とのつながりがわかります。

難しいのは、どのようにして今後出るであろう症状を、人間関係のシステムを変えることによって“和らげれる”かということです。こうなれば、人は病気のことだけに集中できます。人はストレスでまいってしまった時には、考えるのも嫌で、ただ砲火の列から逃れたいだけです。もし私が頭痛やその他の病気で家にいれば、プレッシャーの限界から逃れることができます。誰も私に手伝ってとか、もっとやれとか言えません。たまにはただ自分のことだけ考えるというのも必要です。

多くの人が報告していることですが、病気の診断を受けた後で、病気になると思っていたというのです。彼らは仕事の量について行けなくなったこと、あるいは夫や母親などとけんかばかりしている状態には我慢できないということが分かっていたのです。

私共はかつてこれを2次的ご褒美と呼んでいました。すなわち、ストレスの強い中心や自分に対する要求から逃げ出していたのです。しかし、それはストレスが、まるでワラがラクダの背骨を折るようなもので、ストレスが持つそのような性質の裏返しだと私は考えます。もっとよく理解したいのであれば、人間関係のプロセスの方を理解するのが、いわゆるご褒美の部分より大事です。

ストレスは人が互いにそのつもりでないのに、かけ合う一種の感情的圧力だと思うかもしれません。私達は互いをちょっとばかり必要とし過ぎることもたまにあります。もう一つの問題は私達は内心で、うんとよくなければと思っていることかもしれません。自分自身に対する期待から、休暇を必要としているのかもしれません。でもそのような休暇があるわけはないので、ラクダの背骨が折れるまで、そして遺伝的に弱いところが慢性の病気の形で発現するまで、働き過ぎたり、他の人に対してやり過ぎたりする場合があります。不安とは、何か悪いと感じる状態です。それは私共の認知レベルより下にある場合があります。人間関係がうまく行かない時は、その人がやり過ぎだということを示すものである可能性があります。この人間関係の乱れがどの病気にもあります。

人が人間関係のことを意識していないのであれば、戻って夫や妻、母親、社長、あるいは自分自身の要求と折り合いを付ける必要はありません。いちばんはっきりしているのは病気の治療をすることです。これをすることで、自分自身や他の人の期待を変えるようなことが起こるだけのことです。

私はすべてのことがいちばんうまくいっている時に、どのような人間関係が病気のプロセスから私達を守ってくれるかということについて考えています。私達はたくさんのストレスに満ちたことを通じて、闘い、愛し、話すことができます。時には、あまりにも感受性が強くて、不安に対処する方法として人間関係のシステムを使えず、そのためストレスが精神や体の中に入り込む場合もあります。それならば、ストレスのない生活をせねばなりません。

[Q]Bowen理論の重要な概念は“自己の区別”の考え方ですが、それは他の人との関係においてどれくらい自主的であるかを言い表わすものです。あなたが“自主的である”場合、他の人と自然で、建設的な思考に基づいた関係を結ぶことができますね。うんと緊張したり、マイナスの感情に基づくのではなく(「自己の区別」についての詳しいことはhttp://www.ideastoaction.com/selfscale.htmlをご覧ください)。この理論に基づけば、一部のケースでは、慢性の病気はだんだん自己の区別がつきにくくなっていることを示す徴候であると思われますが、なぜ、またどのようにしてそうなるのかを説明してもらえますか?
私は、先の話でこの謎につながるヒントを与えております。人は成熟したり、よい判断を下す能力がそれぞれ違います。感情的な成熟には様々な種類の社会的強化刺激があります。多くの経験や家族のバックグラウンドが、“自然で建設的思考”を価値あるものと感じさせるわけではありません。多くの経験や家族のバックグラウンドは社会的には報われない価値であります。これらは、おそらく社会的関係の維持や慢性の病気への対処には非常に都合が良いかもしれませんが、すべてに都合良いわけではありません。例えば、衝動的に恋に落ちる人がビジネスでは非常にうまくいくこともあります。しかし、人がビジネスをするやり方(トップの地位を争って手に入れる)で、結婚のしっかりした基盤が手に入るわけではありません。ドナルド・トランプ氏は結婚ではうまくいかなかったが、ビジネスでは凄腕であったという事実を話してくれました。彼は問題がわかっています。配偶者を勝ち取ることと結婚を維持することは別のことなのです。

自主的な人は人間関係で、特に、管理上の問題で問題を起こすことはまずありません。彼らは他の人がありのままでいられるようにしますし、なるべくプレッシャーをかけないようにすることができるのです。あまりにも多くのプレッシャーがかけられ、そのプレッシャーをどう扱えばいいのかよくわからない時、人は自己の区別のつかない状態になります。プレッシャーが忍び寄るにつれ、反動的になることがあります(感情盲)。あるいは別の極端な場合では、当然のように、他の人との関係や他の人がしたり、しなかったりすること、またシステムが反応することでプレッシャーが作り出される状態に立ち向かうこともできます。

人がストレスを受けている時に、生活スタイルの判断がうまくできないという証拠はたくさんあります。「自己の区別のつかない状態」とは、単に人がその代償を知らずにシステムの要求に屈することを意味します。人は自己の一部をあきらめてしまい、何かに傷付きやすくなっています。私達は、立ち向かったり、自分を変えることで自分の働きを増そうとする時にも傷付きやすくなります。ことわざには 「痛みがなければ得るものもない」とあります。感受性や他の人の対する反動性のレベルを変えることは可能ですが、簡単ではありません。病気のプロセスが人を変えます。ここで、人間関係のシステムに対し、ノーとか何か違うことを言わなければなりません。そうしなければさらに症状が出ることになります。何ができて、何ができないかについて、もっと開けっぴろげで、「自然で建設的に考えることと話すこと」に価値を見出す能力が慢性の病気を持って暮らす上で大きな違いを生じることが多いのです。

[Q]甲状腺機能亢進症に罹っている人がパニック発作や極度の不安、心悸亢進を経験したり、感情的に大変動揺することが時にありますが、中にはこのような極端な状態が家族関係や結婚の関係を傷つけ、それが甲状腺機能亢進症の人だけでなく、家族に甚大なストレスを引き起こすケースもあると思われます。診断がつけば、このような患者は普通、症状を和らげるための様々な治療を受けることになりますが、それにはかなりの時間がかかります。それ以外の方法に関して、何かアドバイスあるいは考えがおありでしょうか?処方された治療に従うことに加えて、甲状腺機能亢進症の診断を受けた人が「精神の落ち着き」を得る助けとなる、またどうやれば家族がうまく対処できるかということについてのお考えということですが。
知識があれば答えが出ます。家族にこれから直面することになる困難についてきちんと話し、本当の事実を知らせるようにして欲しいですね。あなたが立ち向かっていることを知っていれば、家族の中の誰であれ、変える必要があることに対処する計画を練ることができます。それはその人がもっと休んだり、食餌を変えなければならないようなことかもしれません。変える必要があることで、どれがいちばん困難で、どれがいちばんやさしいと思っているかを書くことができれば、それが手を貸す際に役立つのです。まだ感情的に落ち着いていない時に、開けっぴろげに話そうとするよりは、お互いに書くようにする方が思いやりもあることだし、気分も落ち着きます。誰がどの責任を引き受けるかということについての家族の計画がある方がよいと思います。

家族の誰であれ、自分でこのようにすることができれば、それはよい例になります。まだ、他の人に変わるようプレッシャーをかける時期ではありません。一つのアイデアとしては、計画を家族の皆の目に付くところに貼るかどうかしておき、家族と当人に物事が変ったことを思い出させるようにしておくことです。皆に計画が見えるようにしておくことは、責任感を強め、思考をはっきりさせる方法です。結果が出ますからね。計画どおりにいかない場合でも少なくともそうしておくべきです。結果をはっきりさせるためにもです。同じように、きちんと打ち明けて話さねばなりません。変化は皆にとってつらいものですし、誰が変ることによって違いをもたらそうとしているのか知ることができれば、少しはましになります。最終的に、他の人がそれぞれ自分の計画を立てて約束することになるのでしょうが、それは子供が静かにしておくとか、皿洗いを手伝うというのと同じくらい簡単なことだと思われます。家庭を癒しと希望に満ちた雰囲気にするために、一人の人が他の人に対してできることは大抵ちょっとしたことなのです。

[Q]甲状腺機能低下症の状態、つまり不活発な甲状腺ですが、これは継続的な疲労、疲弊、そして様々なレベルのうつ病を伴う場合が多いのですが、このエネルギーの欠如とうつ病のために特に自信をなくしたり、弱ってしまったと感じる時、マイナスの考え方からもっとプラスの考え方に移行し、直面しているストレスを減らすために、どのような種類の実際的なことをするよう勧められますか?
私はよく人に言うんですが、精神を庭と、またマイナス思考を雑草と考えれば、ぴったりのアイデアが出てきます。庭にはそんなにたくさんの雑草は生えません。どのようにしてマイナスの心配をしている時間の長さを測りますか。マイナス思考にどれくらいの頻度で、どれくらいの時間とどまっているかを書き付ければ簡単だと思います。人々のために役立ってきたもう一つのアイデアは、この問題に対して10分間だけ心配していいことにすると自分に言い聞かせることです。その後、今日はもうこれ以上心配する時間はないというわけです。思考が文字どおり脳の中に溝を彫り込むということに気がつけば、どれくらい深く、またどれくらいの時間をその溝の中で過ごすかということについてもっと注意を払うようになるでしょう。

家庭を変えようとするエネルギーがあれば、目にみえるところに思い出の品を置くというのも私が好むやり方です。休暇で行ったところや友人、夢の写真、あるいは視覚的にプラスの気分を家の回りに放つものであれば何でもいいのです。音楽や花もプラスの気分を作り出すのに役立ちます。瞑想する場所を持つことは非常に効果があります。リラックス法やアルファトレーニングについての詳細は私のウェブサイトwww.ideastoaction.comをご覧ください。視覚に訴えることは脳を変化させるために非常に重要なことです。この問題を理解し、自分で解決する方法を見出してください。寝る前や起きた時にそれをしてください。ある1点に向かって集中することで、もっと柔軟な脳を作ることができます。

行動に移す時に脳はあなたのことをもっと真剣に受け取ります。自分の計画を書き出す時、ただそのことを考えるだけの時よりも、はるかに多くの脳内のニューロン(神経細胞)を活性化しているのです。考えることは夢想しているようなものです。何であれ、ただその経過を見ているだけのことです。そのようなことをしても役に立ちませんし、変わることに対して自分自身に信頼がおけません。親が子供の絵を壁に貼ることで、どのようにして子供の努力に報いたかを思い出してください。彼らは陽性強化刺激(誉めたり褒美を与えること)によって人が成長し、変わることができるということを知っているのです。古い習慣を変えるには、少なくとも50%の陽性強化刺激が必要です。脳や体を精神の接地点として使うことにより変える方法については山程の研究があります。将来、慢性疾患に対処する上で精神や体、人間関係システムの統合がもっと進むだろうと思っています。病気の経過を変えたり、あるいは寛解させることができる機会がもっと与えられることになるわけです。なぜ30%の人がある種の条件でうまくいくのか(偽薬効果)誰にも分かっていません。ですから実験とは関係なく、何が自分に効くのかを見なければなりません。

[Q]甲状腺の病気に罹った人には、従来の薬を使った方法で治療する医師がおりますが、中には薬ではよくならない不安やうつ病がまだ残っている人もいます。そのようなケースでは、多くの人が健康を取り戻す全体の作戦の一部としてセラピーに効果を見出すこともあると思います。これからセラピーを受けてみようかという人がいれば、セラピーのタイプを選んだり、自分にあったセラピストを選ぶに当たって、一般的にどのようなアドバイスをされますでしょうか?
私はコーチという概念を好みますが、誰であれ、一緒にいて心地よく思える人であればいいわけです。私は、病気やストレス、家族、そして仕事の力学が対処しなければならない問題は相互に作用し合うと考えていますので、人間関係のシステムの考え方に関するトレーニングを受けた人を見つけるようにした方がよいでしょう。そうすれば、あなたにとって興味のある人と一緒に考える時間を楽しむことができます。部門別に分けられるような場合、これは分野別に専門性が必要とされる医療界ではよくあるはずのことですが、これは難しくなります。でも、セラピストを見つけることに関しては、何の制限もありません。人が従う理論は何百とあります。折衷主義はいろんなものがごたまぜに入っているバッグです。私はその人がどのようにして専門職についたか、また人の行動について実際にどう考えているかを知ろうとするでしょう。あなたは消費者です。あなたが担当者であるべきです。セラピーはミステリーではあってはなりません(私の単純な意見ですが)。

マリーさん。今日はお時間をくださり、またたくさんよい質問をしてくださって本当に有り難うございました。難しいことを試したり、考えるのは大好きですし、面白いと思っています。
Andrea Shara

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