情報源 > 患者情報
[016]
オリジナル→
[016]
甲状腺機能低下症:いくつかの一般的な質問へのお答え

甲状腺機能低下症の診断が下されたばかりの時は、間違いなくたくさん聞きたいことがあるはずです。新たに橋本甲状腺炎(甲状腺機能低下症に至る自己免疫性甲状腺疾患)の診断を受けた人から次のような素晴らしい質問をいただきました。そして、その答えは同じ疑問を持つ他の人にも役立つかもしれないと思ったのです。

[1]治療中、あるいは少なくとも投薬量が定まるまでに副作用や感情の変動などが起こりうるのでしょうか?
甲状腺ホルモン剤の副作用はきわめてまれです。時に、特定のブランドで使われている結合剤あるいは充填剤に対してアレルギー反応を起こす人がいます。しかし、それは非常にまれなことです。
唯一の本当の“副作用”は、薬の量が多すぎたり少なすぎたりするためのものが普通で、このような場合の“副作用”は実際には不十分な甲状腺機能低下症の治療(飲んでいる甲状腺ホルモンの量が不十分な場合)または甲状腺機能亢進症(飲んでいる薬の量が多すぎる場合)であります。しかしながら、治療を進めていけば甲状腺機能低下症の症状の一部は強くなったり、弱くなったりすることが予測されます。そのため、甲状腺ホルモン補充療法を始めて数日以内にすべての症状が消えると思ってはなりません。
それでも、一般的には多くの人で、健康状態の改善や症状の消失と共に徐々にTSHが下がっていきます。通常は、かなり低い投与量から開始し、血液検査の状態でどのようになるかのモニターを続けるため、そのようなことがあるのは、正常なTSH範囲に戻る前のしばらくの間であるはずです(また、甲状腺の機能が不全になりつつあり、TSHが上がってきている時は、効き目がだんだん悪くなって、実際に投与量を増やす必要がある場合もあります。したがって、定期的な血液検査が必要なのです)。私のかかっている内分泌専門医は、患者は10〜16週間は本当によくなったとは感じず、その時点で振り返ってみて「おや、前よりずっとよくなったみたい」と言うのですが、これは前と比較してどれだけよくなったかかがわかるからだと言いました。私の場合もこのとおりでした。私は甲状腺ホルモン剤を飲み続けて、本当によくなったと感じるまで約4ヶ月ばかりかかりました。もちろん、診断が出た時点でのTSHのレベルによっても、気分がよくなるまでにどれだけ時間がかかるかは違ってきます。TSHレベルが28とか128であれば、診断時に8であった人よりもおそらく長くかかるはずです。
[2]長期的な健康上のリスクはありますか?癌になるリスクは高くなりますか?
医学的主流をなす見解では、長期的な健康上のリスクは主に心臓病/動脈硬化症、骨粗鬆症(女性に多い)、そしてその他の自己免疫性疾患にかかるリスクが高くなると言われています。代替医学(鍼灸、漢方など)では、もっと多くの関係があると信じられています。感染に対する抵抗力の低下や卒中、アレルギー等です。しかし、これにはまだ異論があります。そして、ほとんどの“リスク”は“未治療”あるいは“不十分な治療”を受けた病気で計算されています。“治療済み”の甲状腺の病気のリスクについてはあまり研究がされていません。Broda Baenesの本とDr. Langerの本はどちらも甲状腺の病気の影響を扱ったものです(これらの本については私のオンライン書店で読むことができます)。
[3]甲状腺腫は本当のところ何なのですか?私にこれができるのですか?
甲状腺腫は甲状腺が大きくなることで、首の前の方の腫れや膨らみを生じます。
甲状腺腫は主にヨード欠乏に関係しています<注釈:日本にはヨード不足はありません>。
アメリカ合衆国のようにヨード欠乏のない地域の甲状腺腫は、ヨード欠乏地域に起こるものより小さく、発生頻度も少ないのが普通です。人口の10%以下にしか存在しないため、“散発性”甲状腺腫とも呼ばれます。これらの甲状腺腫は、ヨード欠乏地域に比べ、一部は橋本病と呼ばれ甲状腺機能低下症を起こす自己免疫疾患に関係しており、また過剰な甲状腺ホルモンを産生するびまん性または結節性の甲状腺疾患(バセドウ病または中毒性多結節性甲状腺腫)、あるいはまれですが悪性度の低い甲状腺癌に関係することが多いのです。橋本病/甲状腺機能低下症のある人のごく少数にしか甲状腺腫はできません。したがって、あなたに起こる確率はきわめて低いのです。
[4]疲労感はとれるのでしょうか?体重が減って、また運動できるようになるほど気分がよくなるでしょうか?
疲労感は軽くなってくるはずですが、よくなったり悪くなったりすることがあります。自己免疫性甲状腺疾患がある場合、ストレス(身体的、感情的)で体がより疲れやすくなります。そして、何人かは“抑制”が利かなくなってきます。すなわち、甲状腺の病気になる前に比べ、人と簡単に“衝突”するようになったり、すぐにへたばるようになるのです。体重は、多くの人にとって大きな問題です。
これは甲状腺の病気があらゆるレベルで影響を及ぼすため、代謝が変化することによります。そして、活動を増しても、またカロリーの摂取量を減らしても、一部の人では発病前のようにうまく行くとは限りません。糖分の処理も異なり、肝臓も以前のように老廃物を処理しなくなります。糖尿病の血糖を低くする食餌へのアプローチ、すなわちBarry Shearsのゾーンダイエットが従来の低脂肪食よりエネルギー/体重減少に効果が高いことがわかってきました。大事なことは、甲状腺の病気で遅くなった代謝を早めることです。そして、治療中であったり、TSHが正常範囲にある時でさえ、体重を維持したり、減らすのに前よりももっと運動が必要な場合があることに気付くことです(ただし、これは一部の人です。さらに、代謝速度が正常に戻り、体重もゆっくりですが確実に減っていく人も一部です)。
[5]皆がこの病気はちょっと厄介だけどそんなにひどいようではないというのですが、どれくらい悪くなりうるのでしょうか?
もちろん、たくさんの厄介な副作用があって、あなたがそうなるかもしれませんし、ならないかもしれません。そして、甲状腺ホルモンを飲んでいて、血液検査の値が正常な範囲にあっても、よくなる場合もよくならない場合もありますが、一部の人では、いったんTSHレベルが正常範囲に戻れば、完全にもとのように元気にります。それ以外の人では、絶対に元どおりになったように感じず、答えを求め続けるのです。しかし、この病気に関連したうつ病に罹った人はいちばんつらいようです。残りは時に前のようではなくなった体重や髪の毛に対して戦ったり、他の人全部とうまくやるのに疲れ果ててしまったりしますが、これはそれほど破滅的なものではありません。生活のペースを落として、時にはバラの香りをかいで、A型の性格の人より少し大目によい本を寝転がって読むようにしましょう(実話では、他の人に比べ、なかなか変わらない人の方が影響が大きいようです)。

もどる