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第2部
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[010]
甲状腺機能亢進症に関してよく聞かれる質問

第2部:甲状腺機能亢進症の診断
01 医師はどうやっていろいろな甲状腺機能亢進症の一つと診断を下すことができるのですか?
02 中毒性結節または甲状腺腫など、他に甲状腺機能亢進症の原因となるものはありますか?
03 甲状腺機能低下症の人に甲状腺の薬を与え過ぎると甲状腺機能亢進症になるのですか?
04 ヨードは甲状腺機能亢進症の原因となりますか?
05 甲状腺炎とはどのようなものですか?またどのようにして甲状腺機能亢進症が起こるのですか?
06 甲状腺機能亢進症をほっておいても治りますか?

[01]医師はどうやっていろいろな甲状腺機能亢進症の一つと診断を下すことができるのですか?
初期診断は大体次のような理学的検査(視診、触診、聴診)だけですみます。
  • 肥大した甲状腺
  • 心拍が速い(心悸亢進)または心臓の動悸
  • 皮膚が滑らかで、ベルベットのような皮膚
  • 指先の震え
  • グレーブス病(バセドウ病)に関しては、目と皮膚は第1部に述べたとおりです。
その他の症状は
  • 疲労
  • 手のひらが湿っぽい。
  • 体重減少
  • 髪が細くなり、縮れてくる。
  • 落ち着きがなく、じっとしていない。
  • うつ病
  • 食欲亢進
  • 性欲の変化
  • 筋肉の弱り、特に上腕部とふともも
  • 注意力が続かない。
  • 暑さに弱い。
  • 汗をかく量が増える。
  • 神経が過敏になり、すぐいらいらする。
  • 睡眠中に何度も目が覚める、または不眠症
  • 気まぐれな行動
  • 女性では、月経周期が不規則になり、量が減ってくる。
  • 不妊症、反復性流産
  • 腸が頻繁に動く。
特に家族の中に次のような異常がある人がいれば、家族歴も診断の手がかりとなります。
  • 甲状腺機能亢進症か機能低下症のどちらかに罹ったことがある。
  • 20代から白髪になり始めた。
  • 若年性糖尿病のような免疫系の病気に罹ったことがある。
必ず一般血液検査を行い、甲状腺ホルモンのレベルが異常に高く、脳下垂体で作られる甲状腺刺激ホルモン(TSH)のレベルが低いことがはっきりすれば最終的な診断が下されます。TSHのレベルが低いことが、いちばん信頼性の高い甲状腺機能亢進症の検査です。まれに、脳下垂体が過剰なTSHを作ることがあります。そのような例では、血液中のTSHと甲状腺ホルモン両方のレベルが高くなっています。それに加えて、甲状腺刺激抗体(TSAb)または甲状腺刺激免疫グロブリン(TSI)の測定が行われることもあります。

最後に、甲状腺の活動が活発すぎるのかどうか見るために、放射性ヨード(RAIといいます)を飲んで、甲状腺の放射線画像を撮影することもあります。この甲状腺の活動が活発すぎるのがグレーブス病(バセドウ病)の特徴ですが、甲状腺の中にある活発すぎる結節またはしこりではそうではありません。

[02]中毒性結節または甲状腺腫など、他に甲状腺機能亢進症の原因となるものはありますか?
甲状腺にしこりができることも時にあります。これは結節ともいいます。これらの結節の活動が強すぎて、甲状腺ホルモンを作り過ぎることがあります。そのような結節を“中毒性結節”と呼びます。そのような結節がたくさんある場合は、“中毒性多結節性甲状腺腫”と呼びます。
ただし、結節が全部甲状腺機能亢進症を起こすわけではありません。

[03]甲状腺機能低下症の人に甲状腺の薬を与え過ぎると甲状腺機能亢進症になるのですか?
私が書いた他のコラムをお読みになればお分かりと思いますが、甲状腺機能低下症(機能が落ちた甲状腺)の正しい投薬量を見つけるのは、厳密に科学的に行われているのではありません。実際、処方された薬の量が多すぎることが時々あり、そのため甲状腺の機能亢進症が起きてしまいます。そのようなケースでは、体の中の甲状腺ホルモンレベルが正常に戻るまで、医師は薬の量を減らすはずです。

[04]ヨードは甲状腺機能亢進症の原因となりますか?
ヨードは甲状腺が甲状腺ホルモンを作るのに使われます。ヨードの量が多すぎると甲状腺機能亢進症になることがあります。ヨードの過剰によって引き起こされる甲状腺機能亢進症は、普通、甲状腺に甲状腺腫や多結節性甲状腺腫などの異常があるという特徴があります。ヨード過剰摂取は、多量にヨードを含むある種の薬によって起きる場合があります。例えば、心臓病薬のアミオダロンがそうです<注釈:これは日本では起こりません>。

[05]甲状腺炎とはどのようなものですか?またどのようにして甲状腺機能亢進症が起こるのですか?
甲状腺炎とは甲状腺の炎症のことです。一般的にウィルス性の病気に罹った後(亜急性甲状腺炎)または妊娠の後(産後甲状腺炎)に起こります。ただ、この病気を起こす特定のウィルスまたは細菌は、まだ確認されていません。
この病気は一次的なものですが、約3ヶ月から6ヶ月のサイクルで経過します。最初に、甲状腺は非常にたくさんの甲状腺ホルモンを放出し、その結果甲状腺機能亢進症が起こります。その後、甲状腺に貯えられていたホルモンが枯渇するために、放出される甲状腺ホルモンの量が少なすぎるようになり、その結果甲状腺機能低下症になります。

甲状腺炎の診断は普通、先に説明した甲状腺スキャンを使って行われます。甲状腺炎では、甲状腺のRAI取り込みがほとんどないことから診断がつきます。
甲状腺炎が原因で甲状腺機能亢進症が起こることはまれです。ほとんどは自然に治るものであるため、患者の症状を和らげるためにベータ・ブロッカーを与えるだけですみ第3部、通常はそれ以外の治療は必要としません。また、炎症を起こした甲状腺の痛みを和らげるために、アスピリンのような抗炎症剤も投与されることがあります。甲状腺炎がかなりひどい場合は、甲状腺の炎症を抑えるため、コルチコステロイドが使われることもあります。

[06]甲状腺機能亢進症をほっておいても治りますか?
甲状腺機能亢進症になるほとんどの病気ではノーです。自然に治ることはありません。甲状腺機能亢進症のほとんどのタイプは、治療しないで放置すると非常に危険なことがあります。まず、不整脈を起こし、 悪化して心不全や胸部の痛みを生じることがあります。実際に、血圧の上昇、不整脈、心臓の鼓動が強くなり過ぎ、心拍が速くなり過ぎることが起きたり、重篤な情緒障害や心不全さえも引き起こす可能性があるのです。甲状腺機能亢進症の病状がここまで悪化した場合、甲状腺クリーゼまたは甲状腺発作と呼ばれます。甲状腺が悪化しないようにしなければなりません。−この病気を軽く見ないことです。死ぬこともあるのです。

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