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31
[006]
先生に聞こう【Ask The Doctor】 Bridge; Volume 14, No4

31:甲状腺疾患と筋力低下について

質 問
甲状腺とスポーツの能力−甲状腺機能低下症か、甲状腺機能亢進症のどちらかがどのように筋肉に作用し、そのためスポーツ活動に従事する能力に影響が出るのでしょうか?
わけもなく力がなくなってきたような場合、そのことを医師に言うべきでしょうか?

回 答
甲状腺機能の異常は筋肉に甚大な影響を及ぼします。甲状腺機能亢進症には筋肉の脱力と筋量の減少が起こります。また、筋収縮の効率も悪くなります。このため、大腿部や上腕部の近位筋(体の中心に近い方の筋)に力が入らなくなります。これは非常にひどいことがあり、中には椅子から立ち上がったり、トイレで立つのが困難になる患者もおります。

甲状腺機能低下症でも筋力低下が起こります。ほとんどの患者に筋肉の硬直や脱力、そして筋痛(筋肉の痛み)が見られます。近位筋の脱力も起こります。さらに、長いこと甲状腺機能低下症が続くと、筋肉のサイズが大きくなり(筋肥大症)、これがこむらがえりに関係していると思われます。筋肉が肥大する理由はよくわかっておりません。また、外観上は非常によく発達した筋肉のように見えますが、この肥大した筋肉には力がありません。甲状腺機能低下症を治療すれば、硬直は2〜3週間で、また脱力は4〜10週間で治りますが、こむらがえりは6ヶ月以上続くことがあります。

Douglas S. Ross, M.D.は、ボストンのマサチューセッツ総合病院の副医院長であり、甲状腺科の医師です。
Douglas S. Ross医師が、甲状腺の病気や甲状腺の働きに関する読者の一般的なご質問にお答えします。しかし、患者さんの個人的問題についての細かいご質問にはお答えできかねます。個人的に甲状腺の問題についての助言が必要な方は、ご相談なされるようTFAがお近くの内分泌専門医の名前をお送りすることができます。お問い合わせは、ここボストンのTFAまでお手紙かお電話でなさってください。

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