情報源 > 患者情報[006]
29
[006]
先生に聞こう【Ask The Doctor】 Bridge; Volume 14, No4

29:甲状腺疾患と性差について

質 問
甲状腺の病気は女性より男性に少ないのでしょうか?
そうだとしたら、どのくらい少ないのですか?
また、それはなぜですか?

回 答
甲状腺の病気は男性に比べ、女性の方に相当多く見られます。ある地域(イギリスのウィッカム)の調査では、明らかな甲状腺機能低下症(低T4レベルを伴う古典的な症状があるもの)の罹病率は女性で1.4%、男性で0.1%未満でした。軽度または無症候性甲状腺機能低下症(TSHが上がっているもの)の罹病率は女性で7.5%、男性で2.5%でした。甲状腺機能亢進症にも女性の方が多く罹っており、女性では1.9%であるのに対し、男性では0.2%でした。

なぜ女性の方が甲状腺の病気やその他の自己免疫性疾患に罹りやすいのかという理由はよくわかっておりません。自己免疫性甲状腺疾患(甲状腺機能低下症の主要原因)の実験モデルを使ったところ、アンドロゲン(男性の性ホルモン)が甲状腺炎になるのを防いでおりました。

しかし、女性は甲状腺結節や多結節性甲状腺腫のような自己免疫性ではない甲状腺疾患にも罹りやすいのです。しかし、男女どちらにもまれなこととはいえ、男性では甲状腺結節が癌である可能性が女性の2倍となっております。

Douglas S. Ross, M.D.は、ボストンのマサチューセッツ総合病院の副医院長であり、甲状腺科の医師です。
Douglas S. Ross医師が、甲状腺の病気や甲状腺の働きに関する読者の一般的なご質問にお答えします。しかし、患者さんの個人的問題についての細かいご質問にはお答えできかねます。個人的に甲状腺の問題についての助言が必要な方は、ご相談なされるようTFAがお近くの内分泌専門医の名前をお送りすることができます。お問い合わせは、ここボストンのTFAまでお手紙かお電話でなさってください。

もどる