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23
[006]
先生に聞こう【Ask The Doctor】 Bridge; Volume 14, No1

23:TSH検査のタイプ

質 問
第3世代のTSH検査とはどういうものですか?

回 答
TSHの正常範囲はおおよそ0.5〜5.0mU/Lですが、検査施設毎に異なっています。1980年代半ば以前は、TSH測定(“アッセイ”と呼ばれます)で1.0mU/L以下の値は測ることができませんでした。そのため甲状腺ホルモンのレベルが高く、その結果脳下垂体のTSHレベルが低くなる甲状腺機能亢進症の診断には役に立たなかったのです。もっと低いレベルのTSH、おおよそ0.1mU/Lまで検知できるアッセイが1980年代半ばに利用できるようになり、感受性の高いとか高感度、あるいは超高感度アッセイと呼ばれました。これらのアッセイは今や第2世代のアッセイと一般的に呼ばれていますが、これにより、初めて甲状腺機能亢進症の診断にTSHを使うことができるようになりました。ただ、非常に軽度の甲状腺機能亢進症ともっと進んで臨床的にはっきりわかるようになったものとを区別することはできません。

第3世代のアッセイは、0.01mU/Lもの低いレベルのTSHを検知することができ、非常に軽いタイプの甲状腺機能亢進症の臨床的重要性を測るのには、第2世代のアッセイより有効です。多くの検査施設では第2世代のアッセイを日常的に使っており、それよりも費用が高いと思われる第3世代のアッセイは、非常に軽いか、あるいは潜在性の甲状腺機能亢進症の患者にのみ使われております。それ以外の検査施設はすべての検体に対し、第3世代のアッセイを行なっております。第2世代のアッセイで正常なTSHレベルであった場合や、血清T4と/またはT3の上昇を伴う顕性甲状腺機能亢進症であることがはっきりしている場合は、第3世代のアッセイを使う必要はありません。

Douglas S. Ross, M.D.は、ボストンのマサチューセッツ総合病院の副医院長であり、甲状腺科の医師です。
Douglas S. Ross医師が、甲状腺の病気や甲状腺の働きに関する読者の一般的なご質問にお答えします。しかし、患者さんの個人的問題についての細かいご質問にはお答えできかねます。個人的に甲状腺の問題についての助言が必要な方は、ご相談なされるようTFAがお近くの内分泌専門医の名前をお送りすることができます。お問い合わせは、ここボストンのTFAまでお手紙かお電話でなさってください。

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