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21
[006]
先生に聞こう【Ask The Doctor】 Bridge; Volume 14, No1

21:甲状腺ホルモンの処方

質 問
甲状腺ホルモン補充薬について聞きたいことがたくさんあります。一般名と商標名のついた薬はどう違うのでしょうか。医師の答えはいろいろだと思います。値段に違いがあるのですか?どうやったらその薬がまだ大丈夫だとわかるのですか?薬の使用期限はどうなっているのですか?今貰っている錠剤が処方箋通りのものだとどうしたらわかるのですか?色や形などによってでしょうか?あるいは、私の処方が変った場合、同じ量であることを確かめるにはどこをどう見たらよいのですか?

回 答
レボサイロキシンは、数種類の商標名をつけて売られておりますし、一般薬としても売られています<注釈:日本ではチラージンS>。以前は、一般名で売られているレボサイロキシン製品の中には品質が劣るものがありました。このため、多くの内分泌病専門医に特別な商標名のものを勧めることになったのです。
いちばん名の通った商標名のものとその他の値段の安い商標名のもの、あるいは特定の一般製剤を比べた最近の研究で、すべての製剤が本質的に同じであることがわかりました。市場に出ているすべての一般薬を調べたわけではありませんし、多くの内分泌病専門医はまだ商標名のものを好んで処方しています。いくつかの州では、レボサイロキシンの値段の安い商標名のもののうちの一つを“一般薬の代わりとする”ことが要求される場合があります。これはこれらの州で売られている品質の疑わしい一般薬を駆逐するための政治的戦略です。レボサイロキシンは高価な薬ではありませんが、他の商標名のものの3分の1以上安い銘柄薬もあります。

何人かの患者では、あるレボサイロキシン製品を他の製品よりよく吸収するというようなことが有り得ます。すべての製品は同じ量のレボサイロキシンを含んでいますが、処方に異なった“不活性”の添加物が含まれています。したがって、同じ商標名のものを一貫して使うことをお勧めします。銘柄薬を変える必要がある場合(保険会社が特定の製剤しかカバーしていないのかもしれません)、6週間から8週間後にTSHのチェックを受けるようにした方が賢明です。

商標名のついた製品には、それを見分けることができるように独特の形し、それと/またはマークがついています。多少の相違はありますが、ほとんどの製品には一貫したカラーコードが付けられています。すなわち、黄色は0.1mg、薄い青は0.15mgを表わしています<注釈:アメリカでは10種類くらいの量のものがあります。それぞれに錠剤の色が違います。しかし、日本では、2種類のみです。錠剤の色は、50マイクログラムが白色、25マイクログラムがピンク色です>。

適切なものであれば、薬剤師から貰う瓶で一般薬、銘柄薬、そして薬の使用期限を確かめることができます。たくさんの銘柄があり、量も12種類あります。調剤の際に間違いが起きることもあります。薬剤師が正しい銘柄、あるいは量を調剤したかどうか疑問がある場合は、薬剤師に遠慮なく錠剤をチェックしてもらうようにするべきです。

Douglas S. Ross, M.D.は、ボストンのマサチューセッツ総合病院の副医院長であり、甲状腺科の医師です。
Douglas S. Ross医師が、甲状腺の病気や甲状腺の働きに関する読者の一般的なご質問にお答えします。しかし、患者さんの個人的問題についての細かいご質問にはお答えできかねます。個人的に甲状腺の問題についての助言が必要な方は、ご相談なされるようTFAがお近くの内分泌専門医の名前をお送りすることができます。お問い合わせは、ここボストンのTFAまでお手紙かお電話でなさってください。

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