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[006]
先生に聞こう【Ask The Doctor】 Bridge; Volume 11, No2

14:手根管症候群について

質 問 MT, バージニア州バッキンガム
甲状腺機能低下症と手根管症候群の間にはどのような関係があるのでしょうか。お答えをいただければ非常にありがたいのですが。

回 答
手根管症候群は、手首のところで正中神経が圧迫されることにより起こるものですが、その結果、痛みや刺すような痛み、手首に力が入らなくなるなどの症状が起こり、その症状は親指とそれに隣接する指3本にもっとも強く現れます。リスクファクターには、甲状腺機能低下症や末端巨大症(成長ホルモンの過剰)だけでなく、手首の関節の反復性外傷または使用(特に組み立てラインの労働者)が含まれます。甲状腺機能低下症の患者では、甲状腺機能低下症で異常に蓄積する物質である多糖類が蓄積することにより結合組織内に水分が貯留する傾向があるため、手根管症候群との関連があるものと思われます。このため腫れがひどくなり、正中神経が手首を覆っている結合組織の下を通っているために圧迫症状が悪化するのです。甲状腺機能低下症の治療を行うと、手根管症候群の症状が改善されることがあります。したがって、重篤な神経の損傷があるという証拠がなければ、手根管症候群のある甲状腺機能低下症患者では、正中神経の圧迫を取り除くための手術を考える前に甲状腺機能低下症が治るまで数ヶ月待つべきでしょう。スプリントのような保存的手段やイブプロフェンのような非ステロイド系抗炎症剤の投与が、甲状腺機能低下症が治るまで待っている間に有効と思われます。

Douglas S. Ross, M.D.は、ボストンのマサチューセッツ総合病院の副医院長であり、甲状腺科の医師です。
Douglas S. Ross医師が、甲状腺の病気や甲状腺の働きに関する読者の一般的なご質問にお答えします。しかし、患者さんの個人的問題についての細かいご質問にはお答えできかねます。個人的に甲状腺の問題についての助言が必要な方は、ご相談なされるようTFAがお近くの内分泌専門医の名前をお送りすることができます。お問い合わせは、ここボストンのTFAまでお手紙かお電話でなさってください。

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