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[005]
患者さんとの橋渡し【Bridge】 Bridge; Volume 6, No1

24:白斑症 / David B. Mosher, M.D. / Thomas B. Fitzatrick, M.D., Ph.D. / Madhu A. Pathak, M.S., Ph.D. ボストン、マサチューセッツ総合病院皮膚科

どのような人が罹るのですか? どこに出るのですか? どんな時に起こるのですか? なぜ発病するのですか? どうやって治療するのですか?
自分がカイロにいると想像してください。それは1991年の春で、両方の手の甲の皮膚の上に白い斑点が現れてきて困っています。別に痛くもどうもないのですが、だんだん広がってきており、またエジプトは太陽の光が強いところなので、正常な皮膚が日焼けして黒くなってきたために、白い斑点がさらに目立つようになりました。

それで、エジプト語を話せる友達のところへ行き、相談しました。“白斑症”として知られるこの病気の治療法があると聞いたことがあったからです。

友人は喜んで助け船を出しました。彼は“スーク”という当地の市場にあなたを連れて行き、ハーブを売っている場所を訪ねました。彼は店主に友達が白斑症に罹っていてこの病気の治療法を求めていることを説明しました。何のためらいもなく、店主はある特殊な植物の種または“実”から作られた粉の入っている小さな袋を勧めました。この植物はラテン語でアンミ・マユスというセリ科の植物で、ノラニンジンやイチジク、ライムと近い関係にあります。パッケージについていた説明書はエジプト語でしたが、友人が苦もなく訳してくれました。説明書では、茶さじ2杯の粉を取り、水に入れて煮立ててその溶液を飲むように指示されていました。2時間後に外に出て太陽の光を浴びるのです。また、日に当たったところの斑点が黒くなり始めるまで治療を繰り返すようにとも書いてありました。これは全部、医師の診察なしに行われました。その治療の結果は、本当に軽視できないものでした。

アンミ・マユスはナイル谷にたくさん生えている植物で、エジプト人は13世紀から白斑症の治療に使ってきました。実際に、インドのヒンドゥ教信者も近い種類の植物から抽出した同じソラーレン化合物をもう少し長く日に当たる方法と組み合わせて使って来ました。この治療法は紀元前1400年にはすでにインドの聖典に記載されていたのです。1947年に、薬理学者のO.R. FahmyとJ. Abul-Shadyがアンミ・マユスの種から有効成分を分離しました。翌年、皮膚科医のA.M. El Moftyが初めてソラーレンの植物抽出物を用いて白斑症の治療を行い、その治療後に白斑に色素の再沈着があったことを報告しました。

まれなことですが、白斑症の白い斑点が生まれた時からある場合もあるのですが、普通、白斑症は後天性の皮膚病で、何年もかかって徐々に大きくなっていく痛みのない純白の斑点が特徴です。一部の患者では、皮膚の白い斑点が広がるのが止まり、はっきりした理由がないのに次第に薄れていくこともあります。

どんな人が罹るのですか?
白斑症は、性別、人種、そして年齢に関わりなく誰でも罹る普通の病気です。ほとんどの皮膚科医は人口の少なくとも1%が白斑症に罹っているということを認めていますが、いくつかの臨床研究では、この病気の本当の罹患率が8.8%にも達する可能性があることを示唆しています。女性と男性がこの病気に罹る可能性は同じです。もっと古い研究では、女性の方が罹りやすいことが示唆されていますが、この誤った考えは女性の方が外見を損なうような皮膚病を気にして、医療の助けを求める可能性が高いために生じたものと思われます。白斑症の患者の研究は世界中から報告が出ています。昔は、白斑症は皮膚の色が黒い人の方に多いと思われていましたが、今ではこれらの国の医師や患者が単にこの病気に対する関心が他より高かったのだろうと思われています。これは、皮膚の色の黒い人ではより目立つことと、そのことで社会的にひどい恥辱を加えられることが時にあるからです。インドのように今日でも罹患した人の間で、昇進や結婚の機会にひどく制限が加えられているところもあるのです。

白斑症を発病した患者の約半数が、10歳から20歳の間にその白斑が外から見てわかるようになります。生まれた時に白斑のある人も少数報告されていますが、年を取ってから始まることもあります。

一部の人では、白斑症を起こす遺伝的素因があるようです。罹患した人の30%以上が他の家族にもこの病気がある人がいると報告しています。現在、研究者は白斑症の原因に関わる別々の遺伝子が4個はあると信じています。白斑症は一卵性双生児でも報告されています。あなたに白斑症がある場合、おそらくそのリスクは10%に満たないと思われるものの、子供が白斑症になるリスクが高くなります。
また、家族の中にインスリンでコントロールする必要がある糖尿病に罹っている人や自己免疫性の甲状腺機能不全がある人がいれば、その家族に白斑症が出るリスクが増加します。後者にはバセドウ病によって引き起こされる甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症のいちばん多い原因である慢性甲状腺炎(橋本病)があります。

関連皮膚疾患には白髪および若白髪、円形脱毛症として知られている斑状の脱毛、そして他の皮膚斑の周囲に白い輪ができる光輪様母斑があります。白斑症のある患者は悪性腫瘍になるリスクが高くなることはないようです。どのタイプの皮膚癌も少ないようです。

遺伝的素因のファクターに加え、皮膚の変化を急に起こすような環境ファクターもあるようです。これには病気や親族の死のような感情的ストレスが含まれます。日焼けに対する反応も白斑症の発病を促す可能性があります。

どのように見えますか?
典型的な白斑症の“斑”または斑点は白墨様の色をしており、縁が凸面になっています(まるで正常な色素を持った皮膚が流れ込んでいるように)。直径は5mmから5cm以上で、円形、楕円形あるいは細長い形をしています。皮膚の中に白い線のように現れる白斑は普通、前に皮膚が裂傷や火傷、あるいは何か他の傷を受けた場所です。新しく生じた白斑はオフホワイト(三色白斑)をしていることがあります。これはこの病気の進展の正常な状態です。この病気は古い白斑が徐々に拡大することと新しいものが生じることによって進行していきます。毛嚢周囲に正常な皮膚の色が見えるのは、その領域で最後に残った正常な色素であるか、あるいは以前は完全に白くなっていたところに正常な色素が戻り始めたとも考えられます。小さな紙ふぶき様の白い点々が見られることもあります。炎症により白斑症が起きた時は、辺縁部が赤く、かゆみがあるのが普通です。これには特に重要性はないようです。

色素喪失のパターンに基づいて、3つの一般的な白斑症のタイプに分けられます。
  • 限局性タイプは一ヶ所に1個または数個の白い斑点があるのが特徴です。これは他のタイプの白斑症の初期の進行段階である可能性があります。
  • 分節タイプは帯状または体の片方に1個または数個の白い斑点があるのが特徴です。このタイプは普通、離れたところの白斑または病気の進行とは関係がありません。
  • いちばん多いタイプは汎発性白斑症で、色素が喪失した斑が広範に分布し、見事に対称的な配列になっていることがよくあります。通常は、腰や陰部だけでなく、手の指や足の指、肘、膝の上にも生じます。“唇を軽く押し当てた”ようなパターンが、乳首や手足の指先だけでなく、顔、特に目や鼻、口、耳の回りにも出ます。汎発性白斑症が広がったものでは、正常な色素のあるところがほとんど残っていないこともあります。これは“全身性白斑症”と呼ばれます。
【図1】手の甲の白斑
図1
51歳 女性 結節性甲状腺腫
【図2】手の甲の白斑
図2
31歳 男性 バセドウ病
組織学的研究
研究者が白斑部分を顕微鏡で見た場合、皮膚の細胞は正常ですが、メラニン形成細胞(メラニンという皮膚の色素を作る細胞)がまったくないのが見えます。白斑の縁の部分にはメラニン形成細胞があるかもしれませんが、正常に機能しているようには見えません。メラニン形成細胞の数が正常であれば、かなり不活発であるように見えます。他の患者では、細胞が活発ではあるが数が減っている場合もあります。リンパ球という白血球の数の増加を伴う軽度の炎症反応があることも多いのです。電子顕微鏡では、周辺の正常な皮膚の変化がはっきり見えます。しかし、現在のところそのような変化の研究は始まったばかりで、それが何を意味するかはまだ不明です。

白斑症の原因は何でしょうか?
白斑症は1つ以上のプロセスによって引き起こされると思われます。それに関連性のある甲状腺の病気のように、白斑症はリンパ球という白血球から作り出される抗体が色素を作るメラニン形成細胞を傷害する自己免疫疾患である可能性があります。また、神経親和性の原因もあるようですが、皮膚のメラニン形成細胞と神経系との相互作用はすべてわかっているわけではありません。最後に、メラニン形成細胞に対し中毒性または毒性のある物質が、正常なメラニン産生の副産物として作られる可能性があります。これらのメカニズムのほとんどが、細胞毒性T細胞というある種のリンパ球によるメラニン形成細胞の選択的破壊の進行に関わっているようです。
診 断
白斑症の診断は、医師が丁寧に患者を診察し、白墨様の色をした特徴のある斑のある部位を見つけることで、普通は簡単に行えます。通常、患者は斑点が何ヶ月あるいは何年かの間に徐々に大きくなってきたことを訴えます。白斑症と同じようなパターンと対称性を持つ病気はほとんどありません。医師は暗くした部屋で皮膚の罹患部位に“ウッドライト”として知られる紫外線を当てて、診断を確かめることができます。このライトを当てると、本当の白斑症の斑点であればすべてびっくりするほど明るい紫色になります。

他の病気で、時に白斑症と間違えられることのあるものがあるかもしれませんが、大体次に挙げたように、鑑別することが可能です。
紅斑性狼瘡は皮膚の他の場所に生じる傾向があり、特殊な血液検査で診断がつく場合があります。

癜風(くろなまず)は真菌性の病気です。小さな対称性の白斑は、ウッドライトを当てると白斑症とは異なり、緑がかった黄色の蛍光を発します。そして皮膚の表面を少しかき落として水酸化カリウム溶液中に入れて顕微鏡で観察すると、原因となる真菌が見られます。

化学薬品による白斑症は、小さな紙ふぶき状の白斑を生じ、患者はある種のフェノール系殺菌剤に触れた病歴があることが多いのです。

癩病斑は、白斑症のものとよく似ていますが、色はオフホワイトで白斑部は痛みを感じません。癩病は世界の限られた地域でしか起こりません。

脱色性母斑は先天性のもので、変化しません。そして白斑の色はオフホワイトです。

結核患者には生まれつき白斑がある場合があります。時に帯状の紙ふぶき状のものがありますが、サイズに変化が見られないことが多いのです。

黒色腫に伴う白斑症患者にも白斑が見られることがありますが、その配置は異なっており、時間が経つと完全に消えることがあります。

炎症後の色素減少症は、乾癬あるいは湿疹などによる炎症があるところにオフホワイトの斑ができることを言います。

白斑症の診断は診察中にはっきりつくのが普通ですが、中には先に挙げた病気との鑑別のため、皮膚の生検が必要な患者もおります。白斑症患者は甲状腺の病気を除外するため、血液中の甲状腺ホルモンレベル(サイロキシンまたはT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)の検査を受ける必要があります。空腹時血糖の検査も糖尿病の除外に役立ち、また悪性貧血の除外には、ビタミンB12のレベルの検査を併用してもしなくてもよいのですが、全血球数の検査が役に立ちます。診察の結果、副腎機能不全が疑われる場合、血清コーチゾンレベルも調べることになるでしょう。
病気の経過と予後
白斑症は慢性の経過を取ります。実に様々な経過を取りますが、急に発病してその後比較的安定した、あるいは進行が遅い時期が続くのが特徴です。30%程度の患者は、特に日に当たったところで自然に色が元どおりになったと報告しています。ただ、患者の満足がいくほど色が戻ることはまれです。時に、短期間に病気が急速に進み、広範に色素がなくなることもあります。
帯状の白斑症には特別な性質があります。普通、その領域で急に発症しますが、最初に出たところを超えて広がることはあまりなく、一度出たらほとんど変化がありません。患者が白斑症に関連性のある病気を起こしても、そのような病気が白斑症の経過そのものに影響を与えることはまずないようです。反対に、甲状腺に病気のある患者が白斑症を生じた場合、皮膚の変化が甲状腺の病気の経過や重篤度に影響を受けることはないようです。

どうやって治療されるのですか?
白斑症の管理には一般的に4つの方法があります。
日焼け止め
日焼け止めには2つの目的があり、特に罹患皮膚の日焼け反応からの保護と正常な色素を持つ皮膚の日焼けを抑えることです。プレサン29およびシェード45が適当でしょう。しかし、日焼け反応を抑える能力は皮膚のタイプと逆比例します。これは特に日焼けがひどくなり、赤くほてり、その後ある程度黒くなるような皮膚を持つ人にはお勧めできます。
被覆剤
染料やメークアップで覆い隠す目的は、白斑を隠して目立たなくすることです。
ビタダイ(ICN/エルダー)は1色で、塗りやすく、擦っても落ちませんが、洗うと落ちますし、次第に色が薄れてきます。カバーマーク(リディアオリリー)とダーマブレンド(フローリロバーツ)はほとんどの皮膚の色調に合うものが出ています。洗っても落ちませんが擦ると落ちます。それ以外にも化粧品売り場で見つかるかもしれません。
色素の再沈着
色素再沈着の目的は、正常な皮膚の色に永久に戻すことです。個々の白斑にステロイドの局所塗布または“ソラーレン”という薬を局所に塗った後で、罹患部位全体に届くように紫外線を全身に当てることによって行われます。どちらの治療も白斑症とその治療をよく知っている医師の監督のもとで行うべきです。
いちばん簡単で安全な治療法はステロイドクリームによるものです。しかし、2ヶ月以内に効果が現れない場合は無効である可能性があります。この治療の主な副作用はステロイドクリームによって引き起こされると思われる皮膚の萎縮、または菲薄化です。

ソラーレンを使った治療ははるかに複雑です。というのは、この治療で皮膚が過敏になり、治療後3日間は日焼け反応を起こす可能性が高いからです。したがって、局所的なソラーレン治療は診療室で行われるのが普通です。

通常は、1%の8メトキシソラーレン(8MOP)溶液を白斑の上に注意深く塗ります。
患者は室内で30分待ち、その後短時間の紫外線治療が行われます。その後、ソラーレン溶液を洗い流し、太陽光が治療部位に当たらないように被覆剤を塗ります。

治療は普通、1週間に1回行われ、治療中に紫外線の量を耐えられる程に徐々に上げて行きます。治療の効果がはっきり現れるまでに15回以上の治療が必要なこともあります。そして、100回以上の治療で白斑症の白い斑点は完全にもとの色に戻ります。この方法は白斑症の小さな部位にだけ行われるのが普通で、通常の場合、この治療法のことをよく知っており、患者に起こりうる副作用を教えることができる経験を積んだ医師によってのみ行われます。

もっと広い範囲に広がった白斑症の場合、ソラーレンの経口投与を行なってから紫外線治療(PUVA)を行う方が実用的ですし、光中毒(光に対する皮膚の反応)のリスクも少なくなります。この形の治療では、ソラーレンの錠剤を経口投与され、その後医師の診療所の小部屋またはライトボックスの中で紫外線治療を受けます。もう一つの方法は、ソラーレンの錠剤を飲んだ後に、きちんと時間を測って戸外で太陽光に当たるように指示されます。治療は普通、週2回行われますが、2日続けて行うことは絶対にありません。光に当たる時間は、診療所内であれ、戸外に出る方法であれ、効果が現れるまで、または光中毒の徴候が出るまで徐々に長くしていきます。一部の患者では、効果が認められる前に日焼け様の軽度の光中毒症状が皮膚に出る必要があるようです。

ソラーレン療法はすべて、できるだけ早く治療の副作用に気付き、問題を最小限に留めるため、治療を様々に変えることのできるトレーニングを受けた経験豊富な専門家の指導のもとで受けるべきです。ソラーレンは何千年もの間、白斑症の治療に使われてきましたが、そのような治療の何ヶ月あるいは何年か後に起こる可能性のある副作用についてすべて知っているというわけではありません。過去20年間に白斑症や乾癬の治療に広く使われてきたソラーレンには、大きな問題は認められておりませんが、網膜の色素沈着の増加がないか確かめるため、定期的な目の検査を受けるようにし、また全身的な薬剤毒性を見るため、治療前と治療中に血液検査を定期的に受けた方がよいでしょう。

PUVAは、頭部や頚部、上腕部、下肢、および体幹部に白斑症のある人の70%で、85%の有効性があります。指先やつま先にはあまり効果がなく、白斑症がそこだけにしかない場合は、普通、治療するほどのことはありません。生殖器領域は被われるべきとこであり、治療する必要はありません。完全に色素が戻った白斑症の斑点の85%は、怪我や日焼けをしなければ10年は正常な色を保ちます。完全に色が戻っていない斑は、治療を止めると徐々に元に戻ります。維持療法は必要ありません。

PUVAによる治療に伴う初期に起こるリスクでいちばん多いのは、吐き気や消化器の不調、日焼け反応、過度の色素再沈着、および乾燥があります。後になって起こる影響には、皮膚の菲薄化や乾燥に伴う光老化と治療部位に他の皮膚病が生じることです。もっとも重大なものは皮膚癌ですが、これはきわめてまれであり、治療で治せるはずです。一部の専門家はこの治療で白内障が起こる可能性があることを示唆していますが、今日まで誰もそのようなことを見た人はおりません。
一般的に、PUVAは10歳以下の子供には勧められません。これは若い患者では副作用がもっとひどいものになる可能性があるからです。起こりうる危険性と利益をよく理解し、はっきりした目的のある動機付けの高い患者で、この治療はいちばんうまく行く可能性が高くなります。PUVAは誰にでも効くというわけではありませんが、副作用がほとんどなく、大部分の患者で改善を見ます。

まれに、帯状の白斑症の難治性の斑に小さな皮膚の移植が使われることがあります。その後に、移植した部位と周辺の皮膚の色を一様にするため、PUVAが必要な場合があります。時に、皮膚の移植片を採取した部位が、“ケブナー現象”として知られる皮膚の反応により白くなることがあります。
脱 色
脱色の目的は、広範な白斑があるか/PUVAが失敗した患者、PUVAが使えないあるいはPUVAの使用を断った患者で、皮膚の色を揃えることです。正常な色の皮膚の脱色には、モノベンジルエーテルまたはヒドロキノン20%クリーム(ベノキン)を使って行いますが、これは永久的で、非可逆性のプロセスとなります。ベノキンの塗布は衛星状の周辺脱色を伴いますので、ベノキンを正常な色の皮膚のある特定の領域を脱色するのに使うことはできません。何ヶ月かして離れたところに新しい白斑が本当に生じてくる可能性があるからです。

ベノキンによる脱色は、普通1日2回塗布する必要があり、最初の効果が見られるまで2〜3ヶ月かかります。そして治療がすべて完了するまで、9ヶ月から12ヶ月を要します。

発赤、乾燥、およびかゆみなどが副作用として起こりうるものです。まれに、接触性皮膚炎が見られます。成功率は約93%です。太陽の光に当たることで、時に局部的な色素再沈着が見られる患者もおりますが、この場合もとに戻すために1ヶ月かそこらベノキンを局所に使用する必要があります。

ベノキンによる脱色の最終段階の色は白斑と同じ白墨様のものとなります。ほとんどの患者は最終的に色が揃ったことに満足します。中には、白墨様の皮膚の色が気に入らず、皮膚をオフホワイトの色にしようとベータカロチン(ソラテン)の30〜60mg錠を飲む人もおります。私共が知っている限りでは、この薬の唯一の副作用は散発性の下痢です。しかし、この薬は他に副作用があるかどうか、現在念入りに試験が行われています。

この治療で皮膚を脱色した患者はすべて、急激に太陽光に当たることでひどい日焼けを起こす危険があります。日中、日光に当たることを避け、プレサン29またはシェード45のような皮膚の保護効果の高いクリームを塗ることが大切です。今日まで、モノベンジルエーテルまたはヒドロキノンの使用で、長期的あるいは不都合な影響は認められておりません。

まとめ
白斑症は普通に見られる皮膚病で、全身的な影響はありませんが、甲状腺機能異常を含むある種の医学的疾患に罹りやすい傾向が高くなることがあります。甲状腺機能亢進症または機能低下症がある患者で、自分あるいは他の家族に白斑症が認められても慌てる必要はありません。次の診察時に、医師に白斑を示せば、おそらくそのサイズを測ることになるでしょう。そうすれば数週間後、あるいは数ヶ月後に再診査をして、その斑が変わらないか、大きさに変化があるかがわかります。

今のところ行うことができる治療では、副作用が起こる可能性があるため、白斑症が広範なものか、審美上問題がある(顔面や手の白斑症のように)場合のみ、治療するようにした方がよいと思われます。

いちばん大事なことは、治療を考えている場合、この記事で述べた様々な治療法に通じており、普通の医師なら来年になって遭遇するかもしれない新しい副作用についてよく知っている皮膚科専門医に相談することです。白斑症は普通に見られるものですが、治療法は誰にでも行えるというわけではありません。その一方で、白斑症で治療を必要とする患者のほとんどで改善をはかることができ、少数ですが完全に治ってしまう患者もいます。
白斑症について医師や患者のためのもっと詳しい情報をお知りになりたい場合、右記の書籍をご覧ください。

これは医療専門家のための優れた総合的テキストですが、患者にとっても総合的な情報が得られる本であります。
Jean-Paul Ortonne, M.D.
David B. Mosher, M.D.
Thomas B. Fitzpatrick, M.D. 共著
皮膚科トピックシリーズの
『毛髪と皮膚の白斑症およびその他の色素欠乏疾患』
ニューヨークおよびロンドン、Plenum Medical Book社刊1983年発行
テキサス州タイラーに本部を置く、全国白斑症協会があり、年2回ニュースレターを出しております。

ここから各章に関する情報を貰うこともできますし、各地にサポートグループがあります。
全米白斑症協会
テキサスアメリカン銀行ビル
私書箱6337
タイラー,テキサス州75711

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