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橋本甲状腺炎の治療法は、診断がついたらすぐに、例えその時点で甲状腺機能が正常であっても甲状腺ホルモン剤(サイロキシン<注釈:日本ではチラージンS>)を飲むことです。甲状腺ホルモン剤が投与される理由は3つあります。 |
- 脳下垂体の甲状腺刺激ホルモン(TSH)の産生を抑えて甲状腺腫を小さくするため。
- この病気は時間が経つにつれて進行してくるため、いずれ甲状腺機能不全が生じ、そのために甲状腺ホルモンレベルの低下が起きることが予測されるため。
- 甲状腺の損傷と破壊を起こす血中リンパ球に対し、効果があると思われるため。
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サイロキシンの量は甲状腺機能低下症の場合と同じですが、最初は甲状腺腫を小さくするために、少し多めの量が必要なことがあります。多くの患者、特に若い人は甲状腺腫自体を気にしますが、消えるまでに数年かかる場合もあります。ほとんどの患者で、甲状腺腫は6ヶ月から18ヶ月の間に小さくなります。甲状腺が小さくなってしまった場合、甲状腺は機能しておらず、治療しなければ患者は甲状腺機能低下症になります。したがって、橋本甲状腺炎に対するサイロキシン治療は生涯続けなければなりません。橋本甲状腺炎患者は少なくとも年1回は家庭医に診てもらい、サイロキシンの量が適切であるか、甲状腺腫のサイズが小さくなっているかをチェックしてもらわねばなりません。 |