2型糖尿病と潜在性甲状腺機能低下症は関連があるといわれています。しかし、2型糖尿病の合併症である腎症と潜在性甲状腺機能低下症の関連性についてはよく分かっていません。

日本内分泌学会より出版されている英文医学雑誌「Endocrine Journal」の最新電子版から、2型糖尿病による腎症と潜在性甲状腺機能低下症の関連性について検討した論文が出ました。

414名の腎症を持つ2型糖尿病患者を対象にしています。この人たちは全員、甲状腺疾患の既往はありません。潜在性甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモン値正常、血清TSH 4.0mIU/L以上と定義しています。糖尿病腎症は、尿中アルブミン・クレアチニン比が300mg/g creatinine以上と定義されています。潜在性甲状腺機能低下症は、36名(8.7%)にみられました。潜在性甲状腺機能低下症のある群は、甲状腺機能正常群に比べて脂質異常や腎症が多くみられました。

多変量解析にて、腎症は潜在性甲状腺機能低下症、高血圧症、喫煙と強い相関がみられました。すなわち、腎症と潜在性甲状腺機能低下症、高血圧症、喫煙は関連があるということです。特に、今回問題になっている2型糖尿病による腎症と潜在性甲状腺機能低下症の関連性については、「イエス」という結論がでました。

この結論が実際の診療において、どのような意味を持つのでしょう。大切な点です。以下に、その臨床的な意義を説明します。

潜在性甲状腺機能低下症を治療することで、2型糖尿病による腎症の発症、進展を予防できる可能性が示唆されます。また、腎症のある2型糖尿病患者に対して甲状腺機能検査を行うことを推奨しています。しかし、どのようなメカニズムで2型糖尿病による腎症と潜在性甲状腺機能低下症に関連性があるのか。その原因を追究するため、甲状腺ホルモン剤による治療にて腎症の発症、進展が予防できるかを明らかにするためにさらなる検討が必要であると、研究者たちは述べています。