喫煙が甲状腺機能に影響を与えることは知られています。しかし、妊娠中の喫煙が産後の甲状腺機能異常症にどのように影響を及ぶすかについてはよく知られていません。

英国から出版されている医学雑誌「Clinical Endocrinology」の最近の論文で、妊娠中の喫煙と産後の甲状腺機能異常症の関連について検討された研究が発表されました。
 
対象は1996年から2008年までに出産した女性のうち初産であったデンマーク人女性 450842人です。89022人(19.7%)は、妊娠中に喫煙をしていました。そのうちの8905人(2.0%)で、産後に甲状腺機能異常症が発症しました。内訳は、甲状腺機能亢進症 3389人、甲状腺機能低下症 5516人です。この頻度は、妊娠中に喫煙しなかった人たちと比較して、甲状腺機能亢進症の頻度は高く、甲状腺機能低下症の頻度は低いという結果でした。

結論は、妊娠中の喫煙は産後の甲状腺機能低下症の発症リスクを減少させ、反対に甲状腺機能亢進症の発症リスクを増加させました。

喫煙は、甲状腺機能低下症の発症を抑えることはすでに報告されていました。また、喫煙と甲状腺機能亢進症の関連については今までに多くの研究結果が報告されており、同じ結果でした。今回の研究は、妊娠中の喫煙と産後の甲状腺機能異常症に焦点をあてて、検討をしていますが、非妊娠時と同じ結果でした。

喫煙は、甲状腺機能低下症には良い方に働き、甲状腺機能亢進症には悪い方に働く。
まったく不思議な現象ですが、今後、この原因究明を行っていく必要がありそうで
す。