アルコールやタバコを取りすぎると、甲状腺がんになりやすいかどうかは気になるところです。実は、今までにアルコール摂取、喫煙と甲状腺がんの関連性について調べた研究はほとんどありません。

がんの疫学「Cancer Epidemiology」という雑誌にこの問題について検討した論文が掲載されました。

159340名の女性を平均12.7年にわたり経過を追っていきました。その間に、331例の甲状腺がんが見つかりました。そのうち276名が乳頭がんでした。9割が乳頭がんで、日常診療で経験しているのと同じ頻度です。非喫煙者と以前喫煙していたが現在は禁煙している人では、甲状腺がんのリスクは増えませんでした。驚いたことに、現在喫煙している人は乳頭がんを含めたすべての甲状腺がんの発生頻度が低いという結果でした。

40 pack-years(一日20本<1箱>を40年間、すなわち1×40=40、一日2箱なら20年間、2×20=40)以上の喫煙者では、特に乳頭がんの頻度が低いことが分かりました。反対に、喫煙期間が20年未満(喫煙期間が短い)の女性では甲状腺がん、乳頭がんの頻度が高いという想定外の結果でした。

アルコール摂取は、甲状腺がんの発症頻度に影響を及ぼさないことが判明しました。

以上より、タバコを沢山吸う女性ほど甲状腺がん、特に乳頭がんの頻度が低いことが分かりました。アルコール摂取と甲状腺がんには関連はありませんでした。

今回の結果は、タバコと甲状腺がんの関連だけに焦点を合わせた研究です。タバコは肺がんをはじめ多くのがんとの関連性が証明されています。やはり、タバコは吸いすぎにならないように気をつけましょう。