第9章:“あなたは変わってしまった”

女性と男性は互いの言葉や行動、および感情を伝えたり、解釈する上で根本的な違いがあります(1)。多くの夫婦は、自分達の本当の違いを認識するようになり、受け入れ、最終的にそれと折り合うことを学びます。

夫婦関係に甲状腺ホルモンバランスの乱れが入り込むと、これらの違いが悪い方向に向かうということが非常に頻繁に起こります。病気に罹った人の話し方や行動の仕方にごくわずかな変化が生じただけで、夫婦間の力関係が変わってしまいます。甲状腺疾患患者、特に活発すぎる甲状腺のある人は気分屋で、不安になったり、怒ったり、いらいらするようになることが多いのです(2)。そして、多くは配偶者の行動を歪んで認識します。残念なことに、配偶者はどうしてそのような変化が生じたかわからないことがあります。要求の変化に対処できないことやコミュニケーションをとるのが難しいことから、誤解や誤った期待、そして些細なことでの口喧嘩などを伴う混乱状態を招くことがあります。そして、多くの人にとってはその関係が重荷になります。

甲状腺の病気に罹った人は、自分自身のまったく不慣れなわけのわからない感覚を理解するのに大変な苦労をしています。そのため、自分達の配偶者のことがわかるとは思えません。実際、甲状腺疾患患者は経験したことのない感情の問題にあまりにも圧倒されているので、人間関係のストレスに適切に対処することができません。それが反応やそれに対する反応の悪循環となっていきます。それから、甲状腺の病気によって引き起こされた精神的ストレスを配偶者のどちらもが共有するようになります。

一般的に、片方の配偶者が甲状腺の病気に罹っていると、夫婦関係はまったく異なった2つの段階を経ますが、それぞれ独自の力関係と甲状腺に関連した影響が特徴となっています。第1期は、甲状腺疾患が入り込んでくることから始まり、診断がなされた時に終わります。この時期には、夫婦関係はしばしば悪化し、何が悪いのか、あるいは何が夫婦関係の問題の原因であるかがわからないことから関係に終止符が打たれてしまうことさえあります。第2期は診断がついた後に続きます。

第1期では、ほとんどの例で、病気の侵入はひそやかなものです。ほとんどの場合、罹患した人の性格は驚く程変ります。甲状腺の病気に罹っている人はある程度自分の苦しみを隠す能力はあるのですが、病気のためにすぐに行動や言葉に著しい変化が現れるので、他の人は簡単にその変化に気がつきます。その変化の原因が突き止められない限り(すなわち、甲状腺の病気がまだ診断されていない)、その夫婦は自分達の問題の元を突き止めることができません。夫婦関係はこの期間の長さに応じて悪影響を受けますが、それは何ヶ月あるいは何年も続くことがあります。

この時期のパラドックスは、甲状腺疾患に罹っている人は自分の体や精神に異常なことが起こっていることを認識しているのに、それを理解したり、和らげたり、あるいは正確に言い表すことさえできないことです。同時に、自分自身や周囲に対する認識の歪みから配偶者の行動を不適切だと見なすようになります。甲状腺の病気の人は、相手の方が変ったのであり、自分達の感情的大混乱の原因であると本当に信じているのです。反対に、配偶者や他の愛する人達は患者を咎める行動をとることが多いのです。そのために、甲状腺疾患患者は、そのような食い違いが原因ですでに存在している不安やストレス、怒り、そしてうつ病が悪化し、そのために罪悪感を抱くことがあります。

患者は口論のストレスにうまく対処できないため、不仲になることは避けられません。甲状腺機能低下症と亢進症のどちらも同じような行動の変化を生じる可能性がありますが、ある種の変化が他の病気よりある病気の方に顕著に現れる場合があります。では、争いや口論、そして不仲に火をつけるいくつかの変化を見てみることにしましょう。

甲状腺疾患があなたの性格や人間関係を変える10通りの道筋

長年にわたって甲状腺の病気を持つ人と共に働き、観察してきたことで、私は多くの夫婦にトラブルを起こす次の10タイプの甲状腺に関連した変化を見分けることができるようになりました。

甲状腺疾患患者はしばしば短気で、いらいらしやすくなり、時に過剰な理由のない怒りを見せることがあります。

甲状腺ホルモンバランスの乱れにより、周囲の人に過度に批判的になり、すぐにけんかを始め、かみつくようになることがあります。甲状腺ホルモンバランスの乱れのある人が直接、他の人に向ける非難や怒りの底には不安や心配が潜んでいることがよくあります。皮肉なことに、甲状腺の病気のある人は自分に対する非難にはうまく対処できないのです。

ジャニスを例に挙げてみますと、彼女は幸せな結婚生活を4年間送ってきましたが、疲れや不安、そして体重の増加が出始めました。彼女は27歳で甲状腺機能低下症の診断を受けるまで、それから2年間苦しみ続けました。ジャニスは自分達の関係の悪化を夫の態度のせいにしておりました。
彼女が言うには

例えば、あるものに私がお金を使いたくないのに、主人がそうしたいというような場合、私は理由もなく怒って、言ってはならないことを言ってしまうという具合でした。私は彼にわがままだと言い、共通の目的に向かって働いていないと言いました。私は彼が下す決断が何であれ、また彼が言ったりしたりすることは何もかも不適切だと感じました。あの2年間の苦しみの後で、まだ私達が一緒にいるなんて奇跡です。

ジャニスが直面した状況は、甲状腺の病気のある人にとってはすべてまったく現実のことです。彼らは不安な時に頼りにする必要のある、まさにその人達に向かって非難をあびせざるを得ないと感じています。要するに、彼らの行動は病気に支配されているのです。

別の甲状腺機能低下症の女性はこう話してくれました。「家では始終わめいたり、口論したりしていました。私はたびたび怒り狂っていました。私は主人に対して無礼な態度を取りました。そして請求書や私達の経済状態のことで腹を立てていたので、彼が何か尋ねるとがみがみと怒鳴りました。彼が何をしたって私は満足しなかったでしょう」明らかに、このレポートはこの患者の中の信じがたい葛藤をはっきり言い表すことで、問題の核心を突いています。この病気を経験している人に対する正しい答えはなく、不安が不和を生み出すのです。

同様に32歳の主婦であるカミラはバセドウ病により、甲状腺の活動し過ぎになっていましたが、絶え間ない喧嘩やわめき声、口論に満ちた家庭生活のことを話してくれました。彼女が言うには、「診断を受ける前、私は自分の親と折り合いがよくありませんでした。それが悩みの種でした。私は両親に対してすぐに腹を立てていました。家では、子ども達に対してひどく横柄で嫌みな態度をとっていました。子どもの一人が部屋の真中に靴を片方転がしたままにしていたりすると、それに本当にいらついて、靴を取り上げ部屋の反対側に向かって投げつけたのです。私がそんなことをするなんて信じられませんでした。そんなことは私が普通はしないことでした」これは自分の説明し難い行動に関し、不信感を抱くという患者の一般的傾向をはっきり表わしています。彼らは自分の行動が自分にとって“正常”であるものから外れていることがわかっています。でもなぜかということに対してはまったくわからないのです。

別の例が甲状腺疾患患者が人間関係で経験する不和に共通する特徴を明らかにしてくれます。ダーレンは結婚式の3ヶ月後に甲状腺機能亢進症の症状に気がつき始めました。彼女と夫は些細なことで喧嘩を始め、結局カウンセラーの助けを求めるはめになりました。
彼女はこう打ち明けてくれました。

私が妥協すればよかったと思うことが確かにあります。落ち着いた気分であれば、それに対処できたでしょう。でも私は主人に我慢できませんでした。甲状腺機能亢進症の症状が出る前は、どちらかというとあまり感情的な方ではありませんでした。主人はユダヤ人で、私はカソリックでした。彼はクリスマスに家に帰ろうとしませんでした。私達はそのことで大喧嘩をしました。彼は結局一人で家に帰ることになりました。私がもっと我慢強かったら、私達は座って物事を解決できただろうと思います。

ダーレンは店のカスタマーサービス課で働いていました。彼女は家にいる時と同じような腹立たしさを職場でも経験するようになりました。そして同僚と問題が起き始めたのです。彼女はその状況をこう述べています。「私は始終カスタマーに対して我慢できないでいました。何度もちょっとしたことで泣くようになりました。私は上司と大喧嘩してしまいました。皆が彼女にはいらいらするね!とか、私が本当に早口でしゃべっていると言いました。何かおかしいことはわかっていましたが、それが何であるかはまったくわかりませんでした。私は甲状腺機能亢進症のことも、そこでは物事がうんと早く動くようになることも知らなかったんです」

ダーレンの経験は活発すぎる甲状腺のある人が如何に自分達の行動の変化をうまく説明できないかという典型的な例です。彼らはあたかも他の人はすべて責めを負うべきだというように感じ、また自分達の行動が怒りに駆られた感情により一層煽り立てられるのです。甲状腺機能亢進症の人の脳が早いペースで働くことから、他の人は皆のろまであると見るようになり、それが自分達のいらいらや怒りを正当化することにつながってきます。

甲状腺の病気のある人は配偶者や家族に非現実的な要求をすることがあります。

他の人に何かしてくれるよう頼むことがよくあるのですが、また他の人にどうやるかということも言います。バセドウ病のために深刻な結婚生活の問題を抱えていたある甲状腺機能亢進症の女性はこう言いました。「私は主人に私がいて欲しい時に家にいたためしがないと言っておりました。彼は学生でしたし、1日中学校にいるわけではなかったのです。ですから、彼が家にいて家事を手伝ってくれないことで私は腹を立てていました。でも、実際はできる限りのことをしてくれていたんです。それでも私は満足していませんでした」この例で、患者が如何に自分達の関係を理性的に見ることができないかということがわかります。状況をはっきり理解できず、非現実的な期待で相手を怒らせてしまうことさえあるのです。

甲状腺疾患患者、特に甲状腺機能低下症の患者は静けさを望みます。

彼らは活動や騒音から逃れる必要があると感じます。音に対する耐性が低くなっているのです。要するに、非現実的な静寂の世界に包まれていたいと思うのです。ある甲状腺機能低下症の女性はこう言いました。「私は家が静かであって欲しかったんです。そうでなければ、私は子ども達や主人に向かってわめき始めました。大きな音を出したり、動いたりするものは何であれ、私をいらいらさせたのです。テレビは私にとっては邪魔物でした。私は見ることができませんでした。子ども達の騒がしさはいらいらのもとでした」

患者は友達付き合いをしなくなり、人と話したり、出かけたりしたがらなくなることがあります。

配偶者と一緒に何かすることに一切の興味をなくすということがあります。この良い例は25歳のエンジェルで、彼女は不活発な甲状腺になっていました。
彼女が言うには

私の望みはただ一つ、寝ることでした。私は十分な休息をとっているようには思えませんでした。何一つとして私が嬉しく思うものはありませんでした。テッドは私と外食したかったのですが、私は行きたくありませんでした。彼は映画を見に行きたいのに、私はいつも嫌だと言っていました。彼が映画のビデオを借りてくると、私は眠ってしまいました。セックスもしたくなかったし、料理や掃除もしたくありませんでした。それから彼はいらいらするようになり、私は本当に感情的になって荒れ狂うようになりました。彼は私の方がもっと疲れているということが理解できませんでした。

彼は私と話しをしようとしました。そして「テッド、お願いだから黙っててくれない」などとはとても言いにくかったのです。彼はただその日、自分がしたことを話し、私がしたことを聞きたかっただけなのです。質問、質問、質問、話、話、話─そして私はとてもいらいらしました。最初、私は彼が黙っていてくれたらと思いましたが、それなのに本当は黙って欲しくなかったのでした。

私はただもっと気分がよくなり、エネルギーがあればと思っていました。1年前、私はこれ以上ないほど幸せでした。気分もよく、見場もよく、私達はいつも出かけていました。

甲状腺機能低下症の患者はほっておいてもらいたいと思います。ただ眠りたくて、回りの人とは接したくないのです。中には、周囲の人ができる限りのことをしてくれているということに気付いている人もいますが、それでも一人でいたいのです。

甲状腺の病気のある人は配偶者にもっとかまってもらいたがり、十分にかまってもらっていないと思うことがよくあります。

配偶者が元気付けようと何をしてくれても十分とは思えないのです。皮肉なことに、甲状腺ホルモンバランスの乱れがある人は愛する人に対して複雑な気持ちを持っているのです。愛する人に側にいて欲しいのですが、それは自分がそうして欲しい時だけなのです。言い換えれば、愛する人がホルモンバランスの乱れがある人が定めた“ルール”に従わない場合、その人は自分の愛する人にためらわずに向かっていきます。多くの甲状腺疾患患者がこのようなことを言っております。「私は彼にただそこにいて、私の手を取り、私の話すことを聞いて貰いたいのですが、何も言わないで欲しいのです。彼が何か言ったら、私はいらいらして、怒り出します」

モナは産後甲状腺機能低下症に罹っていましたが、今までになく夫と激しく争いました。彼女は自分に必要なほどかまってもらっていないと感じていました。「この間に私が考えていたのは唯一、主人が私が必要としている手助けをしてくれないということでした。私は人前で主人の顔を殴るところまでいきました。私は自分が大事にされていると思いたかったんです。私はとても魅力があるなんて考えられなくなっていました。子どもを産んだ後はあなただってそうでしょう。私はものすごく打ちのめされ、疲れ過ぎていました」

甲状腺の病気がある人は何か家のことをしようとか、家族のために何かしようという意欲がなくなります。

何かするように頼まれることを嫌ったり、頼まれると怒り出すこともあります。いさかいの原因で多いのは、甲状腺機能低下症の人が家のことをあまりしたがらなくなることです。これは疲労のためにちょっとした家事もなかなかこなせなくなるからです。ちょっと店に行くだけのことでも、到底できないような仕事になることがあります。
ある患者がこのことを次のようにまとめてくれました。

私は自分がそうしたくない時に彼が何も頼まない限り、夕食を作ったり、出かけようとかいう類のことですが、落ち着いていました。彼が私の感情や気持ち、そして症状をわかってくれたらと思っていましたが、最初はそうではありませんでした。彼は私に言うことをきかせようとし続けました。たぶん私が怠けていると思ったのではないでしょうか。私はどこか本当に悪いのだと感じていました。彼がベッドから出ろと言わなければいいのにと思いましたが、彼はそうしました。彼は全部、私の作り事だと思っていたのです。彼は親身にもなってくれなければ、同情もしてくれませんでした。そのことで私は本当に怒ってしまいました。

甲状腺疾患患者は説明できない嫌悪感を配偶者や親族、友人に示しますが、矛盾したことにすぐさま気持ちを変えてしまうことがあります。

この問題はジャッキーのケースでうまく示すことができます。彼女は産後甲状腺機能低下症を発病しました。
彼女はその状況を次のように述べています。

両親とは以前、非常に良い関係にありました。私の子どもが2ヶ月になった時、私は母親に対する苛立ちと怒りを覚えるようになりました。今まで母は私の親友だったのにです。母は私が母と接するのを非常に嫌い、あまりにも失礼な態度をとるので怒ってしまいました。私は母をひどく傷付けてしまいました。でも私は気分が悪く、とても母と折り合うことはできませんでした。母と何のつながりもないように思えました。家に来て欲しくなかったし、とにかく何も手伝って貰いたくなかったんです。

ジャッキーのケースは典型的なものですが、そこで彼女は自分の人間関係が変ったことに気付きました。でも、そのことについて何かするには無力だと感じていました。彼女は物事が以前のようではないということがわかっていたのですが、物事を適切に見通すことができなかったのです。彼女にとっては、その嫌悪感は避けられないものであり、変えることができないものでした。

シルビアも同様でした。彼女は夫に非常に惚れ込んでおり、彼女が言う彼との関係は穏やかで静かなものでした。彼女はこう言いました。「私の主人に対する感情は行ったり来たりしていました。時には私は彼の側にいるのが好きでしたが、そうでない時もありました」この気持ちの変化は甲状腺機能亢進症患者に普通に見られるものです。これが《第8章》で述べた様々な性的興味の変化と一緒になると、それが深刻な不仲や争いのもとになります。

甲状腺の病気に罹っている人は、感情的変化や健康がどれほど仕事をしたり、生計を立てる能力に悪影響を与えるのかということをひどく心配するようになることがあります。

仕事に関連した不安が家庭に持ち込まれた時、それがしばしば口論や怒りの爆発、そしていらいらを募らせるということにつながります。甲状腺機能亢進症または低下症のために仕事の成績が思わしくなかったり、あるいは甲状腺機能亢進症が思考や理性に及ぼす有害な作用のため失業することさえあり、さらに自尊心を失うことになります。経済的安定や経済的な責任の問題が生じてくることが多く、それが関係を維持する上でより一層の重荷となってきます。それ以外のケースでは、甲状腺疾患のある人が仕事の上で困難な立場に追い込まれてしまいます。多くの患者は職を失うまいとして、自分の注意力と残っているエネルギーのほとんどを業績を維持するために注ぎ込みます。これは脳に対する大変な重荷となり、患者が感情的にも身体的にも私生活の責任を果たせなくなるために、家庭で怒りを爆発させるという形で現れることになります。そして、それが配偶者や家族に影響してきます。

教師であるアマンダは甲状腺機能低下症に罹っていましたが、この軋轢を次のように述べてくれました。「私は生徒にいらいらするようになりました。私は自分を抑えるのに大変な努力をしておりました。そのために、すぐにかっとなるようなことはありませんでした。ただ、それですっかり疲れきってしまい、家に帰ると主人に何もしてあげることができませんでした。私は自分達が望むことをするのに、まるでその場にいないような具合で、罪悪感を抱いておりました。ダンスに行っても、自分がステップを踏むために足を動かしたという記憶がないのです。それはひどく目立つことでした」患者が仕事で精一杯頑張ることに重きを置くと、家族のためにやらなくてはならないことをするエネルギーが残らないため、家庭生活に悪影響が出てくるのは避けられません。

同じように、甲状腺機能亢進症の患者も仕事に取り付かれてしまい、そのために配偶者と疎遠になってしまうことがあります。これが32歳のセールスマン、ケネスに実際に起こったことです。彼は甲状腺機能亢進症の躁期にもう一つ別のパートタイムの仕事をしていました。彼の妻は夫の行動に不満を持っておりました。
彼女が言うには

彼がパートタイムの仕事をしていた2年の間に、私達はだんだん気持ちが離れていきました。彼は仕事だけでした。捕まえることもできなかったんです。そして、週末はずっと寝ていました。私はそれが“ケネスの生活”だと思い、それから自分と子ども達の生活だと思うようになりました。

皆から「何で彼に我慢できるの?」とか「彼はおかしいわよ」「何で彼はそんな風に働けるの」「自分の生活というものがないじゃない」と言われたら、自分の生活を見直し、一体本当に自分にあるものは何だろうと考え始めます。私は彼が私のことを愛していないか、気にかけていないのだと思うようになりました。私は彼と子ども達、そして私の間に同じ溝があるのがわかりました。私は彼にだんだん気持ちが離れていっていると言い続けました。私は「ある日、朝起きたら私達は何マイルも離れたところに行ってるでしょうよ」と彼に言いました。でも何を言っても無駄でした。

非常な怒りやいらいらが暴力を招くことがあります。

ホイットニーは31歳の一人暮らしの女性ですが、甲状腺機能亢進症になった時、2年ほど付き合っている男性がおりました。彼女は彼を愛しており、物事が徐々に変り始めた時には結婚式を挙げる計画を立てているところでした。
彼女の言葉によれば

私はかなり普通の生活をしていました。私の症状が進むにつれ、誰とでも衝突してばかりいるように思えました。何もかも気に食わなかったんです。私はすぐに感情を害しました。私がその頃デートしていた男性は、私が苦しんでいることを理解しようともしませんでした。彼は私の言うことを聞こうともせず、それはストレスのせいで、私がまるで子どもみたいに振る舞っていると言いました。彼にかかると私の問題は取るに足らぬことのように思われました。また、私が怠け者だとも言いました。私は甲状腺の病気のためにものすごく疲れていましたが、そのことを知らなかったんです。私は怠け者なんかじゃありません!私は自分が感じた強烈な怒りを覚えています。ある日、私は座って、自分の車を運転して彼のガレージを突き抜けることを想像していました。それは素晴らしいことのように思えました。私はその通り行動はしませんでしたが、今ではそんなこと、思い付きもしないでしょう。私はますます喧嘩腰になっていきました。私達は口喧嘩をすることが多くなり、結局はいつも私が泣いて出ていくという具合でした。私は自分の感情に押し流されていました。

自分の感情との絶え間ない内面の闘いが起きていました。私には寛容さも忍耐力もありませんでした。自分のもともとの性質が気前がよく、世話好きで、親切、そして寛容で、基本的におおらかだったのに、それがまったく反対の性格になってしまったら、うまく対応することなんてなかなかできることではありません。私は意地悪で、嫌な人間になりました。そして何で自分が不幸せなのかわかりませんでした。私は発作的に癇癪を起こし、暴力をふるいました。本当に誰かを殺していたかもしれません。

暴力的な行動や考えは、多くの甲状腺疾患患者を苦しめます。このために、患者が自分自身や他の人に対して危険を及ぼし、病気自体に関係した問題だけでなく、法的問題に直面することもあり得るのです。甲状腺疾患患者の怒りは、中年のエンジニアであるリアンの場合がそうであったように、時に言葉として、あるいは身体的暴力として表現されることがあります。

リアンの妻のジーニーはこう言っています。「彼に話し掛けるのは簡単なことではありませんでした。まるで薬をやっているみたいでした。彼はいつもひどい言葉でののしっていました。火山のようなもので、何かちょっとしたことで噴火するんです」

リアンは如何に些細な、大した事ではないことが怒りや暴力の発作の引き金となるかがよく分かるある出来事を話してくれました。

ある日、ジーニーの姉が来て泊まったのですが、彼女は私のことを嫌っていました。私は彼女にずいぶんいらいらさせられました。私は座って家内が言うたいことを言うのを聞いていました。それから自分も何か言いたいことを言ってやることにしました。そうしたら家内の姉がバスルームに閉じこもってドアに鍵をかけてしまったんです。私の言うことなんか聞きたくなかったからですよ。それですっかり腹を立ててしまい、私はバスルームのドアのところへ行って、ドアをガンガン叩きました。私はドアを開けて中に入れろと言いました。彼女が嫌だと言ったんで、私は「このくそったれが、ドアをさっさと開けて中へ入れろ!」と言いました。彼女がまた嫌だと言って、それから覚えていることは、自分の腕がドアを突き破っていたことです。自分がドアを叩いた覚えさえないんですが、自分の腕はドアを突き抜けていました。そして彼女は叫びながらシャワールームに立っていました。私は彼女を殴りはしませんでしたが、そうしたい気分でした。彼女は居間に戻って来て、私は自分の言いたいことを言ってやりました。それからこう言ったのです。「バスルームに戻りたかったら、そうしていいよ」

ジーニーは内気で、従順な人でした。コミュニケーションがなく、怒りやリアンとの間に溝があるにもかかわらず、そのまま別れずにおりました。

甲状腺機能亢進症のために、他の人が矛盾し、道理に合わないと思うような行動をとることがあります。

ポールと彼の父親は共同でガソリンスタンドを経営していました。ポールが甲状腺機能亢進症になると、彼がわけのわからない振る舞いをし、顧客に対して攻撃的になったために商売がうまくいかなくなりました。その結果、ポールと父親はとうとう互いに口をきかなくなってしまいました。

友人達はポールの妻にこう尋ねました。「何で彼はそんなにピリピリしてるんだろう。何で急いでいない時にも大急ぎでどこかへ行かなければならないんだろうね」彼女はこう言いました。「ハイウェーをまるで救急車のように飛ばすんですよ。まるで気が狂ったみたいに振る舞うし、何でもかんでも早くなくっちゃだめなんですよ」

ポールによれば、「自分の性格がほんとにすっかり変わってしまいました。まったくリラックスできないところまで行ったんです。家でだってそうです。ソファーに座っていることさえ我慢できず、何かせずにはいられませんでした。そうでなければ気分が揺れ動いて、ちょっとしたことでもかっとなるんです」ポールのケースは、精神錯乱と極端な性格の変化として一般的なものです。

配偶者にごく普通に見られる4つの反応

性格の変化には身体的あるいは化学的な理由があることを知らず、甲状腺ホルモンバランスの乱れのある人の配偶者が戸惑ってしまうことがよくあります。この新たな状況に対する反応は人によって様々に異なります。配偶者は今まで一緒に暮らしてきた人とはまったく異なる認識や感覚、および感情を持った別人と暮らさなければならないのです。男性と女性の間の認識や言葉の違いは、ほとんどの配偶者にとって本当に問題となるものです。なぜなら、かなりの時間をかけて、ある種の違いに対処し、合わせてきたからです。ところが今ではそのような違いが別のものに変わってしまったのです。理解がなければ、さらなる争いの原因となるであろう不適切な反応をすることがあります。

ここにいくつか配偶者が普通にとる反応を挙げてみます。

甲状腺ホルモンバランスの乱れがある人から配偶者が離れていくことがあります。

遠ざかること、これは配偶者の典型的な反応ですが、最初は問題を避けようという気持ちを反映しています。患者は相手が離れていくことが、思いやりや理解、および共感がないことだと認識し、配偶者が無関心だという言葉で言い表します。甲状腺ホルモンバランスの乱れにより生じた自尊心低下のため、患者はより一層の怒りを感じ、自分の問題の一部は相手のよそよそしい行動のせいだと思うことがあります。

これはサンドラのケースに見ることができます。彼女は甲状腺機能低下症に罹っており、一体自分達の関係がどうなったのか、夫と同じくらい戸惑っていました。彼女はこう言っています。「私達はそれまでうまくいっていました。私がいらいらするようになりました。彼が何でかわかりませんが、本当に私の気持ちを分かってくれていないと感じました。彼は私とはもうあまり話そうともしません。」サンドラはこのよそよそしさが彼女の行動の影響以上に大きな原因となっているのだと思い込んでいます。患者が夫婦関係の変化をもたらした本当の原因を突き止めようとすると、その道筋がぼやけてしまうのです。

配偶者が甲状腺の病気に関係した性格の変化を受け入れようとせず、怒りと非難で反応する場合があります。

これは大抵、争いをエスカレートさせます。配偶者が言ってはならないことまで言うことがあり、それが患者の自尊心の低下をさらに悪い方に進めてしまいます。患者はわざと口喧嘩の原因を作り出していると非難されることがあります。ある甲状腺機能亢進症の女性はこう言っています。「主人が私のやる気も自尊心も取り上げてしまったんです。彼のせいで気分が悪いということも気まずく感じられます。彼はちゃんと気を入れてやっているかと聞きましたが、それがばつの悪いことだと思いつきもしないんです。私が苦しんでいることを分かってくれたと思ったことは全然ありません。どのシャンプーを買うかというような馬鹿みたいなことで喧嘩になりました」この夫婦は数ヶ月カウンセラーに通いましたが、夫婦関係には何の改善も見られませんでした。その後、彼女の甲状腺が不活発であることが診断されました〈注釈:前に甲状腺機能亢進症と出ていますのでどちらかがミスプリントだと思われます〉。この夫は自分の妻の感情の変化は甲状腺の病気のためであるということを知り、心理療法士のところに行くのを止めました。そして、彼は理解を示し、柔軟に思いやりを持って接するようになりました。

配偶者が対応できず、落ち込んだり、不安になることがあります。

妻に甲状腺の病気があると、夫が不安になったり、問題の深刻さに気付く場合があります。そして何とか理解しようと努めたり、あるいは物事を徹底的に話し合おうとすることもあります。カウンセリングを勧めることさえあります。アシュレーは甲状腺機能亢進症に罹っている間、非常な不安と気分の変動を経験しました。彼女の夫は、幾分彼女に頼っているところがあったので、不安になり、それがもとでうつ病になりました。アシュレーはこう言っています。「最初、不安と怒りがあるのは私の方だったのに、すぐに彼も神経質になって発作的に怒り出すようになりました。それから、2人共さらに不安を募らせたのです」

少数ですが、自分の愛する者が確かに変ったことを認識し、その変化の医学的理由を見付けだそうとする配偶者もいます。

リネットは結婚して15年になりますが、子どもの時から夫と非常に仲が良く、彼が法律大学院に通っていた間、彼を養っておりました。お互いがなくてはならない存在であることを知っており、とても仲が良かったのです。最初、リネットに怒りの爆発やいらつき、体重増加などの甲状腺機能低下症の症状が出始めた時、彼はとても献身的でした。しかし、彼はその問題が身体的なものだということを知らなかったのです。リネットはますます怒りっぽく、いらいらするようになりましたが、2人はとても仲が良かったので、彼女の夫はすぐにその状況に適応できるようになりました。そして、彼はリネットの問題は体重の問題から来ているに違いないという結論を出しました。励ますような口調で、彼は繰り返し、彼女をいちばん悩ましているのは体重のことに違いないと言いました。「運動して、ダイエットを続けなければいけないよ」と彼は言い続けました。彼女はそのアドバイスに従い、ジムでトレーニングをしましたが、状態は変わらないままでした。医師がリネットには医学的に何も悪いところはないと彼女を帰した後も、彼は相変わらず彼女を支え続け、自分達の問題を解決する手引きとなる本を探し始めました。そしてそれにより彼女が甲状腺の病気に罹っているのではないかと疑うようになったのです。

性格の変化を経験している甲状腺疾患患者は、問題が存在することには気付いていても、自分が問題の源であると必ずしも気が付くわけではありません。しかしこの段階では、甲状腺ホルモンバランスの乱れがある人に近しいほとんどの人は理解する努力をしようとしないのです。他の配偶者は、夫婦関係が急速に破綻していくのを見て、夫婦で心理療法士に診てもらうべきだと言うことが多いのです。このような状況下では、問題の源である甲状腺の病気に気が付いておらず、筋の通らない行動やコントロールできない怒り、そしていらいらが続き、そのために口論が絶えないので、カウンセリングは効果がある場合もない場合もあります。よくあることですが、カウンセリングを受けても、夫婦の気持ちがさらに離れていき、離婚につながることがあります。特に早い内に甲状腺の病気が診断されず、それが夫婦の問題に果たす役割に気付かない場合はそうです。

時には、ごく基本的な意志の疎通さえ問題となることがあります。甲状腺機能亢進症の妻を持つジーンはこう言いました。「彼女は自分が考えていることを数回口から出して言います。私が怒り出すまでに彼女が何か3回繰り返して私に言うか、私に何かを言ったと思って、何も口に出して言わないかのどちらかで、それから激怒するのです」

夫婦にあらかじめ問題が存在している場合、これらの問題が甲状腺ホルモンバランスの乱れが入り込んでくることで、さらに悪化することがあります。そして、口論は信じられないレベルにまで高まることがあります。カウンセリングなしには、夫婦関係がだめになることは避けられません。

診断後の夫婦関係

一旦、病気の診断がつけば、夫婦は自分達の問題の原因が見付かったことで安心します。甲状腺ホルモンバランスの乱れの治療で、感情的ストレスや罪悪感、および精神的影響が徐々によくなっていきます。それでも、これはこれらのファクターが、甲状腺の病気の複雑さやその治療によりますが、数ヶ月、あるいは何年もの間、つきまとうことがあるということを意味します。

ジェイミーは甲状腺機能低下症の診断を受けた後、甲状腺ホルモン治療を開始しました。彼女は完全に回復しておらず、夫の期待に添えないことや彼が必要とする世話ができないことに非常な罪悪感を抱いていました。
彼女が言うには

私は主人にしてあげたいことができないように思って落ち込んでしまいます。私はまだ彼のためになってあげることができず、彼と一緒に何かをすることができません。結婚した最初の年に感じたように、親密な関係になりたいんです。私は彼とのセックスを楽しんでいました。それから、私が変わってからは、彼と関係を持ちたいと思わなくなりました。その同じ触り方が私を総毛立たせるのです。まるで私が彼を嫌っているかのようでした。私はこう言いたい気分でした。「ほっといてよ」それから私は罪悪感を感じ始めました。

でも、2〜3ヶ月後にジェイミーの性格は正常にもどりました。彼女の夫であるアンディーは、彼女に甲状腺ホルモンバランスの乱れがあることを知っていました。そして、ジェイミーの主治医は甲状腺の調子がよくなるまでに2〜3週間かかることを説明していました。アンディーはこう言いました。「私は幸せな妻からすぐかみつく人間への変化に慣れたんです。彼女は私に大声を上げてわめくことはありませんでしたが、“ほっといてよ!”の状態から急速に元に戻ってきました。私はこれが本当の彼女ではないということが分かっていました」このタイプの状況では、どちらも罪悪感を抱きます。しかし、自分が夫婦関係に病気を持ち込んだという責任を感じるため、患者の方の罪悪感が大きいのです。

モニカは33歳の会計士ですが、同じようなことを経験しました。彼女は1年以上前からバセドウ病に罹っていました。配偶者であるジャックとの関係に甲状腺の病気が入り込んだことで、激しい口論や喧嘩が起こり、そして気持ちが離れてしまいました。モニカは自分の行動がいくつかの問題の原因であったことに気付き、自分と一緒に暮らすのが簡単なことではなかったということが分かったことで罪悪感を抱きました。

彼女はこう言いました。「私もたぶん激しやすいのだろうと言わざるを得ません。私は何事に対してもこんな風なんです。子ども、お金、仕事。ジャックにとってはつらいことであるのは間違いありません。彼が私は今日はどんなことをしたいのか、あるいは私がたぶん30分以内にしたいだろうということを推測しようとして大変だったことは想像できます。私の気に入るようにすることはたぶんとても大変だったと思います」

別の例を挙げますと、ある日、3年間バセドウ病に罹っていた患者が私の診察室に足を踏み入れました。初めての診察では、彼女の甲状腺は非常にうまくコントロールされているようでした。それで彼女が離婚するつもりであると言った時には驚きました。彼女は長いことこれほど気分がよいと感じたことはないと言いました。気分の変動やいらつき、不安はよくなっていました。彼女は外に働きに出始め、自分でも気分がいいと感じていました。私は普通、診断がつく前の甲状腺の病気の影響がいちばんひどい時に離婚するんだがと言いました。
彼女が言うには

私はずっと長いこと結婚生活の問題を抱えていました。長い間、健全な関係ではありませんでした。そして実際に、その結婚生活のストレスが原因でバセドウ病になったのではないかと思っています。あまりにもたくさんのことを失ったように感じました。私には仕事もお金もなく、自分の人生や健康をコントロールすることもできませんでした。主人は私にひどくあたりましたが、病気の時は離婚する勇気というか強さがなかったのです。でも今は、自尊心を取り戻しましたし、前より物事がはっきり見えるようになりました。自信もつきました。離婚するだけの勇気を持つために、こんな風に感じられるまで待つ必要があったのです。

配偶者が知っておく必要があること

甲状腺疾患に罹っている多くの人が、診断がつき、治療を受け始めた後に配偶者から支えと理解を得ることの重要性を指摘しています。ある甲状腺機能低下症の女性はこう言いました。「私が医師の診察を受け、診断がついたら、それから夫が思いやりを見せ始め、支えてくれるようになりました。彼は私を寝かせてくれるし、息子を側に行かせないようにしてくれました。でも、診断がつく前はそうではありませんでした。これには本当に助かりました。おかげで治りが早くなりました。口論も止んでしまいました」

患者はまだ以前のようではないため、配偶者の支えと理解が回復には欠かせません。患者はまだ不安や気分の変動、怒り、またいらつきを適切にコントロールすることができません。

甲状腺疾患患者の配偶者は、甲状腺の病気の管理にも関わるべきです。病気のことに詳しい配偶者は、患者が感情的影響や甲状腺の病気による苦しみから回復する上で、非常に効果のある影響を及ぼします。時には、配偶者の支えが医師の治療と同じくらいの効果があることさえあります。

ピーターは協力的な夫ですが、まだ甲状腺の病気の治療を受けている妻のことを話してくれました。「彼女が抜け出すのを見ると、今ではそれが何であるのかわかります。そして、それは彼女が別の錠剤を必要としているためではないのです。回復の過程はゆっくりで、少しずつよくなっていくんです。甲状腺の病気の患者はうんと休息が必要だと思います。だから、私は彼女に休むようにしなさいと言います。今では、彼女がしたいことが眠ることだけであっても腹を立てたりしません」

多くの夫は、甲状腺ホルモンバランスの乱れの影響を理解していないので、自分の妻に我慢しようとしないことがあります。中には態度が悪い言い訳のためにホルモンを使っていると女性を咎める人もおります。男性配偶者がどれほどホルモンが感情に影響を与えるかということを学ぶのは、甲状腺ホルモンバランスの乱れがある女性が自分の病気について知識を得ることと同じくらい大事なのです。脳内のバランスの乱れは正常に戻るのに時間がかかります。配偶者は、これらの影響を知らずに、甲状腺の病気に罹っている人の反応が心理的なものだと思い込んでしまうことが非常に多いのです。

中にはこの難しいことをしっかり受け止める男性もおります。ロレッタが結婚した時、夫は彼女が甲状腺の病気であることを知っておりました。彼は教養のある男性で、甲状腺疾患とその影響についていろいろ本を読み、自分で勉強を始めました。彼はたちまち、ロレッタの回復には自分がまず支えとなる必要があり、彼女の苦しみを救うために必要な人間であることを悟りました。彼は彼女に惚れ込んでいましたし、ロレッタより甲状腺疾患に詳しくなるほどまでに彼女の病気に興味を持つようになりました。彼は診察の度に一緒に来て、治療や検査、そして甲状腺ホルモンバランスの乱れが体に及ぼす影響について質問したのです。

でも、他の配偶者は病気やその症状について知ろうとしません。配偶者がこの方法で状況に対応することを選んだ場合、患者は無視されたように感じ、罪悪感が一層募ります。これは状況を悪くするだけで、患者の苦しみがいつまも続くことになります。

この章で挙げた例は、甲状腺の病気が入り込んでくることで如何に家庭生活の調和が乱されるかということをはっきり表わしています。甲状腺ホルモンバランスの乱れの感情的側面を理解することは、患者と家族双方が人間関係を維持する助けになるだけでなく、甲状腺の病気の経過に影響するストレスを減らす助けともなるのです。

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