第9章:バセドウ病、橋本甲状腺炎、およびいくつかの関連疾患

長い間に、私は時々非常に珍しい形の全身性貧血に遭遇したが、これはどのような原因も見当たらずに起こるものである。
直接私の目をひいたこの病気の主要かつ典型的な特徴は、全身倦怠と衰弱、心臓の活動の著しい弱り、胃の過敏状態、および皮膚の色の特異的変化が“副腎線維膜”の病的変化と一緒に起こることである。

Thomas Addison, 1855

トーマス・アジソンは腎臓の上にある、今では副腎として知られている2つの腺の不全により引き起こされる病気の記載を行っていると信じていました。副腎はコーチゾンやその他のステロイドホルモンを作るところです。実際のところ、彼の記述からは、副腎の機能不全に加え、患者の中にはビタミンB12の欠乏によって引き起こされる悪性貧血のある者もいたということがうかがえます。アジソン病患者の一部が両方の病気に罹っていたということは、驚くほどのことではありません。というのは、今ではこの2つの病気が一緒に起こる傾向がわずかながらあることがわかっているからです。

折りにふれ、医師は同様の関係に気付いてきました。単独で起こる確率より高い頻度で複数の病気が一緒に起こるのです。1926年に、ドイツの医師M.B. Schmidtは、副腎と甲状腺不全のある2名の患者の記載を行いました。それ以来、両方の病気を持つ125名以上の患者の記載がなされており、このような希な組み合わせを起こす“自然界の偶然”以上の何かがあるということに気付くには十分なものです。

この本の中でも数箇所にわたって、バセドウ病と橋本病の関係について述べておりますが、これらの病気は同じ家族、時に同じ患者に起こる傾向があり、単独の病気のプロセスとは異なった症状が現れることもあるのです。この章では、バセドウ病や橋本病患者、またはその親族に起こる傾向のある他の病気について述べております。グレーブス病の目の突出、眼球突出症として知られていますが、そのように非常によく研究され、甲状腺の病気との関係が丁寧に調べられているものもありますが、それ以外では、一部の関連皮膚疾患のように、甲状腺との関係についてはあまりよく分かっていないものもあります。

この章は甲状腺ホルモンレベルが高かったり、低かったりするために起こる身体的な変化を述べるものではありません。例えば、ホルモンのレベルが高ければ、上瞼が持ち上がり、皮膚が柔らかく滑らかになり、髪の毛が細く、もろくなることがあります。しかし、高いホルモンレベルが目の突出を起こしたり、白斑症の白い斑を皮膚に出現させたり、あるいは円形脱毛症と呼んでいるまだらなはげを生じることはないのです。後者の病気は、それ自体独立した疾患であり、この章の主題でもあります。

一般的に、これらの病気は甲状腺の病気のある患者が心配しなければならないほど重大なものではありません。円形脱毛症のように、多くはたいして治療の効果はあがりませんが、時間の経過と共に消退する傾向があります。それ以外は、悪性貧血や白斑症のように適切な治療で治癒、あるいはコントロールすることが可能です。アジソン病のように、非常に希なため、甲状腺専門医でさえめったに見ることのないような病気もあります。それでも、バセドウ病や橋本病患者が、自分自身や親族の一人にこのような病気が起こった時に参照できるようこの本に入れるべきであると思ったのです。

その他の内分泌腺の病気:副腎、卵巣、副甲状腺および脳下垂体

甲状腺はたくさんある内分泌腺の一つです。そして、橋本甲状腺炎で起こるような自己免疫性の炎症は、他の内分泌腺でも起こる可能性があります。炎症のため瘢痕ができ、組織が傷害を受けると、内分泌腺が必要なだけのホルモンを産生できなくなる場合があります。症状はこれらのホルモンの働きによって異なります。

副腎はコーチゾンやその他のステロイドホルモンを作りますが、これらのホルモンは血液中に毎日放出され、特にストレスの多い状況に対する反応に重要な役割を持っています。副腎の機能不全は希な病気で、100,000人に1人の割合でしか起こりません。アジソン病患者のほとんどで、副腎の組織が免疫性の攻撃を受け、腺が損傷を受けています。副腎が機能不全になれば、疲労やエネルギー喪失、衰弱、および皮膚、特に関節の上や口の内側の色が濃くなるなどのことが経験されます。この病気は副腎がもはや十分な量を作ることができなくなったホルモンを補うことで治療されます(コーチゾンや関連ステロイドホルモン)。

女性の中には、痛みのない、卵巣の自己免疫性の炎症である卵巣炎にかかる人がいます。この病気では、卵巣組織に対する抗体が血液中に見られることがあり、罹患した人の卵巣組織では炎症と瘢痕化が認められます。希ですが、女性の更年期が早くきた場合、卵巣炎は医師が考慮すると思われる病気です。

副甲状腺に対する自己免疫性の損傷は、カルシウム欠乏症(低カルシウム血症)につながることがあります。この病気の症状には、気分の変化、しびれ、口の回りや指先、つま先のちくちくする感じ、筋肉がつる、そして非常に希ですが、痙攣発作などがあります。自己免疫疾患に関連していますが、実際は甲状腺の病気の患者の中では、低カルシウムレベルが原因であることは非常に希です。低カルシウム血症のより一般的な原因は、甲状腺の手術の後に偶発的に副甲状腺を傷つけてしまうことです。もし、副甲状腺機能低下症が生じた場合、医師は、カルシウムとビタミンDの錠剤を投与し、カルシウムのレベルが正常な範囲になるように投薬量を調整して症状をなくすようにするでしょう。

内分泌系の主内分泌腺である脳下垂体でさえ、免疫性の損傷を受けることがあります。この希な病気(下垂体は脳下垂体の別名であるため、下垂体炎と呼ばれます)は、妊娠中あるいは妊娠直後の女性にいちばん多く起こります。一つのレポートの中に記載された30名の患者では、半分強の者が頭痛を経験し、32%が視力の一部をなくし(脳下垂体は視神経にごく近いところにあります)、ほとんどが副腎や甲状腺などの脳下垂体の刺激に依存している他の内分泌腺が機能不全になり始めた場合と同じように、疲労や衰弱を経験していました。治療は、脳下垂体の機能が減退する時に失われたホルモンを補充する方法で行われます。

アレルギー

甲状腺の病気のある患者の中で、ある種のアレルギー疾患が起こる頻度が高いようであるということが、何年も前に行われた医学的研究で示唆されています。残念ながら、この分野は甲状腺の検査が正確かつ特異的になったことで、最近ほとんど研究が行われていません。したがって、これらの病気が甲状腺の病気のある患者で、一般集団より本当に多く見られるものであるかどうかはっきりしません。甲状腺の病気がある、あるいは以前甲状腺の病気に罹ったことのある患者の中には、時に正常な場合より蕁麻疹を起こしやすい傾向があるようです。皮膚にできるこれらの赤い、かゆみの強いミミズ腫れは、甲状腺の機能が不全になっている時に現れるとは限りません。通常は、抗ヒスタミン剤による治療に反応します。

貧血およびその他の血液疾患

貧血は、体の様々な組織に酸素を運ぶ赤血球の数が減る病気です。甲状腺機能低下症があれば、病気のために体の機能が全体的に鈍ってくることの現れのとして、軽度の貧血をも伴うことがあります。この貧血は何の症状も起こさないことが普通で、甲状腺機能低下症が治療されれば、ひとりでに治ります。これは別々の病気ではなく、甲状腺ホルモンレベルが低いために起こるものです。

もっと重篤なタイプの貧血は、悪性貧血として知られていますが、バセドウ病あるいは橋本甲状腺炎のある、または罹ったことのある年配の患者やその親族に起こることの多い、別の病気です。この種の貧血は、ビタミンB12の欠乏により起こります。正常な状態では、胃の内面を被っている細胞が内性因子と呼ばれる物質をつくり、これが食物からのビタミンB12の吸収を可能にしています。一部の人では、内性因子を作る細胞が働かなくなるために、ビタミンB12を吸収する能力が失われます。この損傷は、アジソン病や橋本病で起こるものと同じ、体の免疫系に関連した自己破壊プロセスにより引き起こされるようです。ビタミンB12は、赤血球を作るのに重要な要素であり、このビタミンのレベルが下がると貧血になることがあります。ビタミンB12は、神経系に栄養を与えるのにも重要であり、そのため悪性貧血が起これば、しびれや手足のちくちくする感じ、バランスの喪失、および足の弱りなども経験することがあります。甲状腺機能に問題のある患者の内、何人が悪性貧血を起こすかは明らかではありません。一部の研究では、少なくともグレーブス病患者の5%、橋本病患者の10%にこの病気が起こる可能性があることが示唆されています。悪性貧血はずっと後になってから起こる傾向があるため、おそらくどちらか片方の病気を持つ年配の患者では、もっと多いと思われます。

筆者は、バセドウ病または橋本甲状腺炎に罹ったことのある60歳以上のどの患者でも、ビタミンB12の血液中レベルを測定するようにしています。これは、悪性貧血は数が多く、また治療可能であるために行なっているものです。血液中のビタミンB12のレベルが低いか、ボーダーラインまで下がっているようである場合、シリング試験として知られている別の検査を行うことができます。悪性貧血があった場合、簡単に治療できます。新しい研究に基づいて、医師はまず最初にビタミンB12の錠剤を投与し、血液レベルが正常に戻り、病気を治すのに十分なビタミンを吸収できるかどうかを見るでしょう。しかしながら、ビタミンB12を吸収する体の能力は時間が経つにつれて下がっていく傾向があり、年をとるにつれ、おそらく毎月ビタミンB12の筋肉注射を行う治療が必要になるでしょう。

血小板の異常も、この甲状腺疾患患者のグループでは一般集団より多くなっています。正常な場合、茶さじ1杯の血液中に約250万の血小板があります。サイズは小さいながら、血液が正常に固まるのを助けるという大きな役割を果たしています。一部の甲状腺疾患患者では、血小板の数と機能が減少するために内出血が起こりやすくなります。アスピリン、またはイブプロフェン(アドビルまたはモルトリン)やナプロジンのような非ステロイド系抗炎症剤を飲むと、この内出血がさらに悪化することがあります。このような場合、医師は血小板数測定、あるいは“出血時間”試験を使って血小板の機能のチェックを行うでしょう。出血時間試験は、血液が固まるまでどれくらいの時間がかかるかを測るものです。また、出血傾向を悪化させないアセトアミノフェン(タイレノール)のような別の痛み止めを飲むよう勧めることもあります。

非常に希ですが、免疫プロセスにより大量の血小板が破壊され、血小板減少性紫斑病を生じることがあります。
この紫斑という言葉は、この病気で皮膚、特に下肢の皮膚に現れる赤や青の内出血のことを指しています。点状出血として知られる小さな紫がかった赤の斑点、これは皮膚の中に小さな領域の出血があるということですが、これもこの病気では多く存在します。このタイプの皮疹が生じた場合、医師は緊急事態とみなし、直ちに血小板数測定を命じるでしょう。これは、どこか他の場所でもっと重篤な出血が起こるリスクがあるためです。血小板減少性紫斑病であることがはっきりしたら、ステロイドの投薬を行うことが多く、普通は治療の効き目があります。

関節炎

バセドウ病または橋本病患者の中には、ある種の腱や関節の炎症も起こしやすい傾向があります。例えば、痛みの強い肩の腱鞘炎や滑膜包炎が、患者の6.7%で報告されていますが、一般集団では約1.7%にすぎません。

慢性関節リューマチはもっと重篤な病気で、体中の多くの関節に対照的な炎症があります。いちばん多く冒されるのは指関節、手首、そして肘です。また、朝にいちばんひどい関節のこわばりという特徴があります。重篤な慢性関節リューマチは、一般集団に比べ、甲状腺機能障害のある患者の間でわずかに多いように思われます。甲状腺機能亢進症あるいは甲状腺機能低下症がある場合、朝、軽度の関節の痛みとこわばりを認めることがあります。そうであれば、慢性関節リューマチ患者と同様に、温熱療法やアスピリンおよびその関連薬剤を使った治療で効果が得られます。その一方、一部の甲状腺機能低下症の患者では、関節の痛みやこわばりは甲状腺の薬の投与で改善を見ます。

糖尿病

バセドウ病あるいは橋本病患者、およびその親族の中では、小児や青年期に始まることの多い、インスリンで治療する必要のあるタイプの糖尿病の発生率が高くなっています(いわゆる若年型糖尿病)。どちらも甲状腺と膵臓にそれぞれ傷害を与える自己破壊性免疫プロセスによるものですが、この2つの病気は同じ人に起こらないのが普通です。しかし、両方の病気が同時にある人は、甲状腺の活動し過ぎで糖尿病がさらにひどくなることが多く、インスリンでのコントロールがより困難になります。そのようなケースでは、甲状腺の病気を治療することで、糖尿病のコントロールが行いやすくなるはずです。

失読症

最近の研究に基づいて、学習障害(失読症)が、家族の中の誰かに甲状腺機能亢進症あるいは橋本病患者のいる場合、一般集団に比べて多いことがはっきりしました。

失読症のある子どもは様々な問題を抱えていることがあり、それには身体的あるいは発話の発達の遅れ、つづりや手書きが不得手であること、吃り、左右の混同、および数字や文字の反転(鏡文字)などがあります。数学が優れていたり、平均以上の言語能力があったり、また運動競技や美術、音楽など他の方面では特別な才能に恵まれていることも多いと思われます。その一方で、読むことやクラス内で集中することは、本当に困難なことがあり、したがって、これらの子どもは非常に頭が良いにもかかわらず、成績が悪いことが少なくなく、そのために自尊心の喪失につながります。この病気は女の子より男の子に起こりやすく、罹患児は左利き、あるいは両手利きのことが多いのです。

したがって、あなた自身あるいは家族の中の誰かに甲状腺機能障害、あるいは慢性甲状腺炎があり、家族の中にこのような種類の学習と/または集中障害を持つ子どもがいれば、学習障害の専門家に子どもをチェックしてもらう方がよいでしょう。専門家は、学校または主治医を通じて紹介してもらえるはずです。

失読症はいつでも治療可能ですが、早ければ早いほどよいのです。そして、特別支援プログラムで驚くほど勉強がよくできるようになることがあります。覚えておいて欲しいのですが、学習障害は甲状腺の病気によって引き起こされるものではなく、実際、男性の方にはっきり現れるのが普通です。一方、関連する甲状腺のトラブルは家族内の女性に起こる傾向があります。

目が大きくなること(パッチリ目)と炎症

どのような原因であれ、甲状腺機能亢進症のある人には誰でも、また甲状腺ホルモンの血液中のレベルが正常値より高ければいつでも、上瞼が持ち上がってくる可能性があります。例えば、甲状腺ホルモンの投与量が多すぎて甲状腺機能亢進症になっている患者では、上瞼が持ち上がって目が大きくなったり、目を見張ったように見えることがあります。しかし、このような場合、実際に目の目は突出していません。

バセドウ病に罹っている場合、どのような感染の証拠もないのに、目の突出と炎症が起こることがあります。これは甲状腺の活動が活発になり過ぎた頃に始まることが多いのですが、甲状腺機能亢進症に先立って、あるいは甲状腺機能が正常になってから何年も後になって起こることがあります。非常に希ですが、この目の障害が甲状腺の機能に明らかな異常のない人にも、生涯の間に時を選ばず起こる場合があります。

もっと重篤な目の病気が、バセドウ病や(もっと少なくなりますが)橋本甲状腺炎のある患者に起こることがあります。これらの病気のひどさは血液中の甲状腺ホルモンのレベルには関係ありません。病気が軽い場合は、目が赤くなり、ひりひりするだけのことがあります。一方で、希な例ですが、もっと炎症がひどい場合、目が突き出したり、複視が出たり、視力が脅かされることもあります。

甲状腺性眼疾患は、どの患者であっても軽い状態から、ひどい状態へと順を追って進んでいくとは限らないことを指摘しておかなければなりません。実際、ごくわずかの瞼の腫れしかない患者で、視神経に加わる圧のため、急速な視力の減退が起こる場合があります。このため、バセドウ病があり、目のトラブルの徴候が見られ始めたら、徹底的な目の検査を受ける必要があります。目の合併症がひどい場合、医師がバセドウ病で起こる様々な目の病気を検査するに必要な設備を備えている眼科医(眼科専門医)を紹介することがあります。正確な視力検査もできますし、目の突出の程度は、眼球突出計を使って正確に測定できます。角膜や他の目の組織は、スリットランプとして知られる顕微鏡に似た装置で調べることができます。レーダーと同じ方法で音波を使い、目と眼窩の超音波影像の撮影が行われることもあります。それ以外の方法では、医師がコンピューター断層撮影(CTスキャン)やより新しい方法である磁気共鳴画像診断法(MRI)と呼ばれるテクニックを使って、特殊な眼窩の撮影を求めることがあります。これらのテクニックにより、目の後ろ側の、炎症を起こした組織がはっきり写った写真が得られます。

目の病気の治療は、病気の種類や悪化しつつあるかどうかによって異なります。軽度の炎症では、単に夜間ベッドの頭側を高くし、“人工涙液”の点眼薬で目を潤滑にするだけの治療ですむ場合がありますが、反対に、複視や視力の減退を伴う重篤かつ進行の早い炎症性疾患がある場合、特殊なめがねやステロイドによる治療が必要となると思われます。ステロイドホルモンを使っても、目の腫れが続く場合、別の治療法があります。これには目の後ろ側の組織に対するX線治療や目の後ろ側にかかる圧を緩和するための骨性眼窩に対する手術(外科的減圧)があります。

幸いに、甲状腺疾患患者の中では、重篤な目の病気は希です。このような目の病気が起こった場合は、優れた治療法があり、うまく問題の改善ができるのが普通です。時に、上瞼や下瞼が過度に垂れ下がり、美容上の問題が生じることがありますが、そのような患者では目の形成外科手術により、効果を上げることができます。

毛髪の喪失と若白髪

甲状腺機能の変化には体の酸素利用の変化(代謝速度)を伴います。代謝速度が速すぎても、遅すぎても、毛髪の成長が不完全になることがあります。その結果、原因は何であれ、甲状腺が活発すぎるか、あるいは不活発である場合に毛髪の一部が失われることがあります。ほとんどのケースで、毛髪の喪失は全身的に起こり、軽度なものです。そして、甲状腺の病気がコントロールされると直ちに毛髪の成長は正常に戻ります。

時に、バセドウ病あるいは橋本病の患者、またはその親族に、まだら状のはげがみとめられることがあります。これは、円形脱毛症として知られている病気で、頭髪や頬髭を含み、毛が生えるところであればどこでも、斑状のはげができるのが特徴です。一般的に、この病気は甲状腺機能のレベルや甲状腺の治療に関わりなく、数ヶ月経って自然に消退しますが、時にはげが永久に残る場合もあります。

医師はかなり以前から、30歳前に白髪になり始める若白髪が、一般集団に比べ甲状腺機能障害のある患者に起こる頻度が高いことを認めていました。この普通に見られ、すぐにわかる症状は、もちろん無害なものですが、家族の中の甲状腺疾患の遺伝パターンの追跡に役立つため、重要なものです《第8章》

心臓のトラブル:心房細動および僧帽弁逸脱症候群

1991年5月7日、ジョージ・ブッシュ大統領がジョギング中、急に心臓の鼓動が早く、不規則になり始めました。
大統領は心房細動を起こしましたが、これは冠動脈疾患や心臓の弁の一つが不調をきたすような潜在的な心臓病のある、年配の人に多い、心拍のリズム障害です。しかし、大統領はそのような病気があるとは知りませんでしたし、健康そうに見えました。

ブッシュ大統領の主治医は、心房細動が甲状腺機能亢進症に多い合併症であることも知っており、直ちに適切な検査を命じました。そして、バセドウ病という診断が出たのです。よくあるように、大統領の甲状腺機能亢進症をコントロールすることで、心臓のリズムは正常に戻りました。

今日では、心房細動を起こした人は皆、特に、他に甲状腺の活動し過ぎの徴候がほとんどない高齢者に対して、医師は甲状腺機能亢進症の検査を行うようになっています《第14章》。ある研究では、心房細動が甲状腺機能亢進症に罹ったことのある60歳以上の人の25%に見られると報告されています。他には、甲状腺ホルモンレベルは正常で、TSHレベルが低いのが唯一の異常であるような軽度の甲状腺機能亢進症患者の28%が、10年以上経って心房細動を起こしたという報告があります。

心房細動と甲状腺機能亢進症のある人は、甲状腺の病気をコントロールすることで、正常な心臓のリズムを取り戻すことができると思われます。あなたが50歳以下であれば約50%の確率で、また60歳以上であれば25%の確率でそのようになります。心臓のリズムが治療で正常に戻らない場合、または心房細動があるが、甲状腺に何の問題も見つからない場合は、普通、心臓病薬と心房細動による血栓形成を予防するための抗凝固剤による治療が勧められます。そうしなければ、そのような血栓が心臓から離れ、血流に乗って脳に運ばれた場合に卒中を起こすことになります。

そのため、あなた自身または知っている人が心房細動を起こしたら、かかった医師に甲状腺ホルモンレベルとTSHを測定する血液検査をしてもらい、甲状腺機能亢進症がないかどうか調べてもらうようにしてください。

僧帽弁は、心臓の左側の左心房(肺からの血液を集める)と左心室(血液を体に送り出す)の間にあります。一般集団の5から10%に僧帽弁の奇形があり、きちんと閉じないため、血液のもれがあると思われます。医師は、聴診で特徴的な“クリック”音、または心雑音を聞いた場合、この病気(僧帽弁逸脱症候群として知られています)を疑います。もしこの病気がある場合、生命を脅かされるようなことは希ですが、時に様々なタイプの胸部の痛みや心悸亢進を経験することがあります。僧帽弁逸脱症候群は、自己免疫性甲状腺疾患のある患者に、異常に多いことが報告されています。1980年代後半に行われた研究では、甲状腺疾患患者に心エコー図と呼ばれる感度の高い検査を実施したところ、橋本甲状腺炎患者の41%、また活動中あるいは治療を受けたグレーブス病患者の43%に僧帽弁逸脱症候群があることが示唆されていました。このような高い心臓病の発生率は、医師と甲状腺疾患患者を心配させたものですが、近年は、超音波診断テクニックと読み取り法が改善され、他の研究者は、真の僧帽弁逸脱症候群の発生率は、最初に示唆されたものよりずっと低いのではないかと考えるようになりました。それでも、一般集団に比べ、まだ高いと思われます。

僧帽弁逸脱症候群の程度は様々で、多くの患者は何の症状もなく、治療の必要もありません。その一方で、弁からの逆流のため聴診で心雑音が聞こえる場合や、心エコー図で著しい弁の奇形がみとめられる場合は、歯科治療や手術、または感染がある際に弁を感染から守るため、医師が抗生物質を勧めることがあります。

腸疾患

炎症性腸疾患は、限局性腸炎(クローン病)や潰瘍性大腸炎を含む一般的用語です。どちらの病気も、甲状腺炎で甲状腺細胞が損傷をうけるような免疫プロセスによる炎症と瘢痕形成により、引き起こされると思われます。どちらかの病気がある患者では、反復するさしこむような腹痛、発熱、また粘液と血液の混じる下痢を経験することがあります。どちらの病気も、自己免疫性甲状腺疾患患者がいる家族にわずかに多く見られます。

症状や治療法は、病気のひどさによって様々に異なりますが、大部分は血液検査や腸のX線検査、および罹患した腸の生検を含む、丁寧な検査により突き止めることができます。幸いに、どちらの病気も比較的希であり、食餌の改善や投薬、また時に腸の手術を含む治療を通じて、相当な効果を上げることができます。

左利きと両手利き

左利きは女性より男性に多く出る傾向がありますが、自己免疫性甲状腺疾患は女性に多く起こる傾向があります。したがって、甲状腺疾患患者の中で、程度の如何を問わず左利きの頻度を見ようとする場合、利き手について甲状腺の病気のある男性に尋ねたか、女性に尋ねたかによって得られる答えが違います。著者の内2名(DSCとLCW)がバセドウ病または橋本病のある男性74名に、利き手について尋ねたところ、12名が完全な左利きで、40名が両手利き、また22名が純粋な右利きであることがわかりました。したがって、これらの男性の70%はある程度の左利きであったということです。これとは対照的に、良性またはがん性結節のような他のタイプの甲状腺疾患のある人24名中、左利きは2名、両手利きは4名だけで、合計25%となり、75%は右利きでした

Wood LC, Cooper DS. 自己免疫性甲状腺疾患、左利き、および発達性失読症。精神神経内分泌学(Psychoneuroendocrinology)1992; 17: 95-99

したがって、あなた自身か家族の中の誰かに完全な、あるいは部分的な左利きの人がいれば、これは家族の中で、グレーブス病や橋本病を含む自己免疫性の病気が起こりやすい傾向があるという手がかりであるとも言えます。

肝臓疾患と黄疸

甲状腺の機能障害のある患者の中には、ビリルビンとして知られる物質の血液中のレベルが増加するために起こる、皮膚が黄色くなる黄疸を起こす傾向を持つ人があります。この関係についての知識は完全なものではありませんが、軽度の黄疸のあるこれらの患者の中には、ジルベール病として知られている無害な病気の人がいます。このような人では、肝臓が血液中のビリルビンを取り除くことができないため、時々黄疸が起こります。この病気のことがわかる前は、そのような患者は肝炎に罹っていると誤診されることが時にありました。しかし、今ではもっとよい検査がありますし、この形の黄疸が起これば簡単にわかります。

自己免疫性甲状腺疾患患者では、原発性胆汁肝硬変として知られているもっと重篤なタイプの肝臓病のリスクがわずかに高くなっています。この希な病気では、肝臓内の自己免疫性の炎症プロセスのために胆管が詰まると、黄疸やその他の肝不全の症状が出てきます。原発性胆汁肝硬変患者95名のグループでは、26%の人が血液中に抗甲状腺抗体を持っており、また16%に血液中のTSHレベルの上昇から、症状のある甲状腺機能低下症にまでわたる甲状腺機能不全の証拠が認められました。そのため、黄疸が出た場合、医師は胆汁肝硬変かどうかを見るための検査を行うでしょう。もしそうであれば、治療は診断がなされた時点での症状と病気のひどさによって異なります。

紅斑性狼瘡(SLE)

紅斑性狼瘡は、体の多くの組織での免疫性炎症のために引き起こされる希な病気です。関節炎や皮疹(太陽の光で誘発されることが多い)、また腎臓、肺、心臓の問題が普通に見られます。さらに、甲状腺組織に対する抗体も高い頻度で観察されます。28名の紅斑性狼瘡患者に関するある報告では、医師が1名に甲状腺機能亢進症を、4名に甲状腺機能低下症をみとめ、残る14名は血液中に抗甲状腺抗体を持っていました。紅斑性狼瘡は甲状腺疾患患者の中ではきわめて希なものですが、紅斑性狼瘡に罹っている人の中では、甲状腺の障害がかなり多いようです。そのため、あなた自身か、家族の中の誰かが紅斑性狼瘡に罹っていれば、医師は家族内に甲状腺の障害をもっている人がないか捜すことがあります。

神経と筋肉の病気

ある神経科医が言うには、“手の痛みが強く、夜眠れない”というのが患者が手根管症候群の救いを求める理由だということです。正中神経という主要な神経が、手根管(ラテン語で手根(carpus)は手首を意味する言葉です)と呼ばれる非常に狭いスペースを通って前腕部から手のひらにかけて走っています。この領域の炎症と腫れ(甲状腺疾患患者には一般集団より多いものです)のため正中神経が圧迫されることがあります。─このため、親指と隣接する3本の指に灼熱感やしびれ、痛み、そして力が入らないなどの症状が出るようになります。一度このことが疑われたら、手根管症候群は筋電図またはEMGで確かめることができますが、これは正中神経の機能を検査するものです。診断が正しければ、医師はアスピリンやイブプロフェン(アドビルまたはモルトリン)、あるいはナプロジンのような抗炎症剤を使った治療を勧めるでしょう。また、夜間就寝中に無意識に手首を曲げることで正中神経に圧がかかり、痛みが生じるのを防ぐため、“手関節背屈副木”の使用を勧められることもあるでしょう。ステロイド剤は手根管自体に注入することができます。最終的には手根管を拡大する手首の手術も可能です。通常、この方法は筋肉の機能や手の知覚が脅かされるような場合に考慮されます。

重症筋無力症として知られる希な筋肉の病気は、一般集団では100万人あたり約33人が罹患するのに比べ、バセドウ病患者では約10倍多くなっています。この病気になった場合、脱力感があり、筋肉が弱っていくにつれ、何かをするのにより一層の努力が必要になります。また、複視や嚥下困難が起こることもあります。甲状腺機能亢進症にも罹っている場合は、ホルモンレベルの異常によって筋肉の弱りを悪化させるため、直ちに治療を行い、甲状腺ホルモンのレベルを正常にしなくてはなりません。

多発性硬化症は、目のトラブル(突然複視が起きたり、一次的に色覚がなくなったり、あるいは片方または両方の目の視力が失われるなど)や痛み、脱力、震え、あるいは平衡感覚の喪失などの神経学的障害に襲われるという特徴を持ち、ゆっくりと断続的に進行していく病気です。多発性硬化症の症状は、慢性甲状腺炎患者の甲状腺組織に起こるような、炎症と瘢痕形成を伴う自己免疫性損傷が脳の中や神経系の他の部分に生じるため、引き起こされるものです。治療の効果はあるものの、神経学的事象の性質や重篤度によって結果は異なります。

周期性麻痺は、運動の後や炭水化物を多量に含んだ食餌(でんぷんや糖分)を取った後に起こることが多いのですが、一次的な完全麻痺の症状が突然出現するという特徴のあるきわめて希な病気です。時に、麻痺期に血液中のカリウムのレベルの低下が付随していることがあります。そのため、罹患患者では、カリウムを使った治療が脱力のコントロールに効果がある場合もあります。周期性麻痺の患者の中には、バセドウ病による甲状腺機能亢進症にも罹っている人がいます。そうであれば、甲状腺の病気をコントロールすることで、通常は麻痺に襲われることがなくなります。何らかの理由で、アジア人の患者では他の人より甲状腺機能亢進症を伴う周期麻痺が起こりやすいように思われます〈注釈:特に男が多い〉

精神疾患

双極性障害〈注釈:躁鬱病〉は、大多数の人に比べ感情が躁状態からうつ状態へ、あるいは高揚から“ブルース(憂うつ)”へと大きく揺れ動く傾向のある人のことを言うのに、精神科医が使う比較的新しい用語です。この集団のサブグループは、“急速循環”を経験しており、これは少なくとも年4回大きな躁期とうつ期があることを意味しています。急速循環双極性障害患者(85%は女性です)の研究では、25%から50%に甲状腺機能不全の証拠が認められました。一部に人はどこも悪いと感じないで、血液中のTSHレベルの上昇が甲状腺機能不全の唯一の証拠でしたが、その他の人は明らかに甲状腺機能低下症でした。

医師は、双極性障害の治療に特に効果の高い薬剤であるリチウムが甲状腺の機能を低下させ、罹患しやすい人、主に自己免疫性甲状腺疾患になる傾向を持っている人に甲状腺機能低下症を起こす可能性があることも突き止めました。したがって、あなた自身または家族の中の誰かにこのような大きな気分の揺れのある人がいれば、医師は血液中のTSHレベルの測定を含む、甲状腺の病気の検査を行うようにするでしょう。リチウムによる治療が選択された場合、時々血液中のTSHレベルの追跡検査を行うよう指示されます。甲状腺機能が不全になっても、甲状腺の機能不全を治すための甲状腺ホルモン療法を追加するだけで、リチウムによる治療は続けることができます。

医者の中には、リチウム治療を処方する前に、抗甲状腺抗体に関する血液検査を行い、甲状腺機能障害を起こしやすい患者の洗い出しををする者もいます。抗体検査が陽性の患者は、リチウム治療の期間を通じて定期的にTSHの検査を受ける必要があるため、このことは筋が通っていると思われますが、実状ではほとんどの医師が、リチウムを飲んでいる不特定の患者に対し、時々TSH検査を行うだけです。

シェーグレン症候群

スウェーデンの医師、ヘンリック・シェーグレンは、1933年に目の乾燥症と口腔乾燥を伴う慢性関節炎のある1群の女性の記載を行いました。シェーグレン症候群は、膣の粘液線だけでなく、涙腺や唾液腺のリンパ球性の炎症と瘢痕化により引き起こされる自己免疫性の病気です。

しばしば目のひりつきや口腔乾燥、あるいは膣のひどい乾燥がある場合、おそらく枯草熱や大気汚染のようなありふれた問題によると思われますが、診査でシェーグレン症候群であることがうかがわれたら、医師はシルマー試験を使って、涙の減少がもっと重篤なものである証拠を探すようにします。この試験は、細長い吸い取り紙の小片を下瞼の下に置き、一定時間内にどの程度紙が濡れるかによって、医師が涙をつくる能力を測れるようにしたものです。それ以外には、この病気があるかどうかを見るため、口唇の内側表面にある小さな腺の生検が勧められます。

この希な病気に罹った場合は、治療は症状のひどさによって異なります。人工涙液と潤滑軟膏で効果があると思われますが、時にはステロイドホルモンが処方されます。より詳しい情報や有益な助言は、シェーグレン協会から入手することができます[付録7]

皮膚の異常

原因は何であれ、甲状腺の活動が活発になり過ぎると、おそらく皮膚が薄くなり、汗をかく量が増えたのに気付くことになるでしょう。反対に、甲状腺が不活発になると、皮膚が厚く、荒くなり、乾燥してくるでしょう。治療により、甲状腺ホルモンレベルが正常になった後、徐々に皮膚は正常な状態に戻っていきます。これらの異常は甲状腺の機能障害によるもので、別の病気ではありません。

[写真]前脛骨粘液水腫
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前脛骨粘液水腫は、ごく少数のバセドウ病患者の下肢の前側と足背部に赤みのある盛り上がった、硬い、普通は痛みのないかたまりが生じる非常に希な病気です。これはムコ多糖類して知られている物質がそのような部位に蓄積した時に起こりますが、現れる理由やこの病気に罹った患者のほとんどで下肢と足だけに出る傾向がある理由はまだわかっていません。この病気がある場合は、普通、コーチゾンクリームによる治療によく反応します。最大限の効果をあげるため、夜間クリームを皮膚に塗布し、サランラップのようなプラスチックで被い、接着テープで外れないように留めておきます[写真]。

白斑症は乳白色の斑が現れる甲状腺関連疾患で、そこの皮膚には正常な色素を欠いています。これはバセドウ病と橋本病のどちらにも付随して起こり、一般的に患者の甲状腺の活動状態には関係ありません。ほとんどの患者では白い斑は小さいため気付かれませんが、中には皮膚科的治療が必要なほど白斑症が広範にわたる患者もいます。近年、皮膚科医はソラレンとして知られる薬を使い始めましたが、それは太陽光に反応して、白斑症の患者のほとんどで皮膚の色素の量を増加させることができます。この形の治療は誰にでもというわけにはいきませんが、白斑症があり、受けられる治療に関して最新の情報が欲しい場合は、医師によい皮膚科専門医を紹介してもらい、診察を受けるようにした方がよいでしょう。

甲状腺疾患のある患者がいちばん多く訴える皮膚関係の症状は、かゆみです。一部は乾燥によるものと思われますが、皮膚描画症として知られている病気がかゆみに対し何らかの役割を果たしていることが多いと考えられます。
簡単に言えば、かき傷のような皮膚の外傷、あるいは熱いシャワーでもかゆみの強い蕁麻疹を生じるのです。この厄介な症状は、熱いシャワーの代わりにぬるい風呂にしたり、皮膚を刺激する物質(ウールはありふれた犯人です)を避けるようにすることで、かなり和らげることができます。

強皮症は皮膚と多くの内臓に炎症と瘢痕形成が起こるという特徴を持つ、希な病気です。症状は、この自己免疫疾患でどの臓器がもっともひどく冒されるかによって、様々に異なります。指や膝の痛みや腫れとこわばりはもっとも多い症状ですが、寒冷刺激で誘発される動脈の収縮により、指やつま先が白くなったり、痛みがある症状(レイノー症状)も伴うことがあります。ある患者の研究では、70名の強皮症患者の14%に甲状腺の炎症と瘢痕形成がみとめられました。別の研究では、27名の強皮症患者の血液検査を行ったところ、その内7名(26%)に甲状腺機能低下症がありました。幸いに、このような関連性はあるものの、強皮症になる甲状腺疾患患者はほとんどおりません。

疱疹状皮膚炎〈注釈:別名デューリング皮膚炎〉はきわめて希な病気で、四肢や臀部、背中にかゆみの非常に強い液体で満たされた水疱や赤みがかった丘疹、および蕁麻疹が対称的にひろがります。この非常に希な病気になった時は、医師は診断の確認と治療の指示を受けるため、皮膚科専門医に見せるように勧めるでしょう。ある疱疹状皮膚炎患者50名についての研究では、26名に甲状腺機能障害があることがわかりました。これは甲状腺疾患患者の中では希ですが、家族の中に誰かこの皮膚の病気に罹った人がいれば、甲状腺に異常がないかどうか検査を受ける必要があります。

まとめ

この章では、自己免疫疾患そのものや甲状腺の自己免疫障害に付随する様々な病気を挙げました。甲状腺機能亢進症あるいは甲状腺機能低下症、またバセドウ病か橋本病のどれかに罹っている人が、これらの病気の一つ以上に罹るということはまずありません。しかし、甲状腺疾患患者やその近親者がこれらの病気になった時にすぐにわかり、治療を受けられるようにという願いを込めて書いたものです。これらの病気のどれかが親族の中にみとめられたら、その人のかかっている医師は、甲状腺に付随する病気を除外するため、甲状腺の検査を行うように勧めるでしょう。血清TSH検査で甲状腺機能亢進症か低下症は診断できるため、症状のない人でのスクリーニング(洗い出し)は、その検査だけに留め、不必要な、より手のかかる甲状腺診査の費用を節約する方がよいでしょう。

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